健康保険には様々な給付があります。
先日、とあるファイナンシャルプランナーさんの話を聞いていたところ、
「健康保険の埋葬料・埋葬費の手続きは知らずに忘れられることが多い、またはそのまま未申請のままになることもある」とのことでした。
確かに数ある給付の中で、存在感がやや弱いかもしれません。
人が亡くなる話は敬遠しがちなのですが、大切な保険給付です。
少しでも申請忘れを減らせるように今回は健康保険の給付の一つである埋葬料・埋葬費の手続きの流れなどを書かせていただきます。
よろしくおねがいします。
忘れないで。健康保険の埋葬料・埋葬費の手続き方法
さて、早速、手続きの方法や提出先について申請書などと合わせてみていきましょう 。
支給される金額についても、併せてご紹介いたします。
まず埋葬料と埋葬費は名前はとても似ていますが、それぞれが違うものとなります。
お気を付けください。
また、業務上や通勤災害で亡くなった場合は労災保険からの給付となりますので
健康保険の埋葬料(費)は対象外となります。
埋葬料
埋葬料は、被保険者により生計を維持されていた埋葬を行う人に対して支給されます。
埋葬料(費)支給申請書を提出しましょう。用紙のダウンロードはこちら。
提出先は健康保険の保険者(=協会けんぽや健保組合)です。
金額は5万円です。
この場合の生計を維持されていた方とは被扶養者であったり、
またいわゆる民法における親族である必要はありません。
亡くなった被保険者によって一部でも生計を維持されていれば支給を受けることができます。
健康保険の被扶養者認定の時よりも広い意味での生計維持の関係が認められています。
埋葬費
一方の埋葬費ですが、こちらは埋葬料を受けられる人がいない、
つまり生計を維持されていた人がいないときに実際に埋葬を行った人に支給されるものです。
提出するものは同じです。
埋葬料(費)支給申請書を提出しましょう。用紙のダウンロードはこちら。
提出先も同じく健康保険の保険者(=協会けんぽや健保組合)です。
金額は埋葬に実際に要した費用となっておりますが、最大で5万円となっております。
別々に暮らしている兄弟姉妹などは、こちらに該当することが多いかと思います。
被扶養者の場合は家族埋葬料
上記の埋葬料・埋葬費は健康保険加入者である被保険者が亡くなった場合のものですが、
健康保険の被扶養家族が亡くなった時はその被保険者に対して、家族埋葬料が5万円支給されます。
こちらも埋葬料(費)支給申請書を提出します。用紙のダウンロードはこちら。
提出先も同じく健康保険の保険者(=協会けんぽや健保組合)です。
申請書は、埋葬料・埋葬費・家族埋葬料全部共通です。
しかし、添付資料は異なってきますのでご注意ください。
審査の後、申請書に記載の口座へ振り込まれます。
なお、健保組合の場合は付加給付として、5万より多くの金額が支給されることがあります。
詳細につきましては、加入の健康保険組合へご確認いただければと思います。
ちなみに、これらの給付は非課税のものとなりますので確定申告は必要ありません。
資格喪失後(退職後)でも支給申請できるケース
おそらくこの扱いのせいで手続きが忘れ去られることが多いのでは、と個人的には思っています。
資格喪失(一般には退職)をした後でも以下の要件に該当したら、
埋葬料・埋葬費の支給を受けることができます。
- 被保険者だった方が資格喪失後、3か月以内に亡くなった時
- 被保険者だった方が資格喪失後の傷病手当金または出産手当金の継続給付を受けている間に亡くなった時
- 被保険者だった方が2の継続給付を受けなくなってから3か月以内に亡くなった時
傷病手当金についてはこちらを参照ください。5項目に継続給付の件の記載があります。
出産手当金も資格喪失後の継続給付があり、受給中の場合は、この要件に該当します。
ざっくりまとめますと、
その健康保険と関わらなくなってから3か月以内、といった感じですね。
なお、家族埋葬料についてはこういった扱いはありませんので、お気を付けください。
また、資格喪失後に市町村の国民健康保険に加入していると国民健康保険からも埋葬料に当たる給付がされます。(葬祭料という給付です。)そちらの給付と健康保険の埋葬料は併給できませんのでご注意ください。
埋葬料・埋葬費の時効は2年間です。
これらの保険給付は時効が2年間となっております。
起算日から2年以内でしたら今からでも申請ができますので、ご確認を頂ければと思います。
そこで、「起算日はどこからか」ということなのですが、
埋葬料については死亡の翌日から2年間
埋葬費については埋葬を行った日の翌日から2年間となっております。
埋葬料か埋葬費で起算日が異なりますのでご注意ください。
以上、簡単なものではありますが、健康保険の埋葬料・埋葬費についてまとめさせていただきました。
健康保険は支えあいの制度です。利用できる給付はぜひ利用していただければと思います。
健康保険のことでお困りのことはお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。