—とある会社を切り盛りするケンタくん。給与計算の仕事をしています。
今月末退職のマサオくんは、社会保険料を2ヵ月分徴収しなきゃね。
忘れないようにしましょう。
先月の社会保険料×2の金額で平気だよね?
マサオくんは、今月で随時改定しているので、先月の社会保険料×2ではダメですよ!計算しましょう。
そうだったね。教えてくれてありがとう。
ブログへお越しいただきありがとうございます。
社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。
社会保険に加入している社員さんは、毎月お給料から社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料)を控除します。
通常は、1ヵ月分の徴収となりますが、給与のお支払方法によっては、
退職者の退職月の社会保険料を2ヵ月分徴収(控除)することがあります。
今回は、社会保険料の2ヵ月徴収のご紹介です。
社会保険料や給与計算のご相談は、社会保険労務士へお任せください!
社会保険料を2ヵ月分徴収するのはどんな時?気を付けることは?
まずは、どんな時に2ヵ月徴収(控除)が登場するのかを確認です。
ひとつめは、
月末で退職している場合。
例えば、5月31日に退職をする社員さんは、社会保険料は5月分まで発生します。
社会保険料は、翌月に控除することになっておりますので、
5月分の社会保険料は6月のお給料で控除するのが原則です。
原則通り、翌月のお給料から控除できれば良いのですが、
ここで、ふたつめの条件の登場です。
退職月の翌月のお給料から、社会保険料が徴収できないとき
例えばこんなケースです。
A社で、5月31日に退職する社員さんがいます。
この会社の、お給料の支払い方法が…
・月末締め、当月25日払いのため、翌月(6月)のお給料が発生しない。
・20日締め、当月末日払いのため、翌月(6月)のお給料が少額となる。
(=6月のお給料は、5月21日から31日までの分だけになります)
こういったかたちで、翌月のお給料から社会保険料を控除できない時は
退職月のお給料から2か月分控除することができます。
上記のケースですと、
5月のお給料で、4月分と5月分の社会保険料を両方控除するということです。
そのため、
うちの会社のお給料は、末日締めで、翌月の25日払いです。
こういった会社さんは、
退職の翌月(先ほどの例だと、6月)のお給料から社会保険料を控除できます。
そのため、2ヵ月徴収は通常行いません。
退職日や、お給料の支払い方法で、決まってくるということですね。
次の項では、気を付ける点をご紹介いたします。
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社会保険料 2ヵ月分徴収の注意点
多くの場合は、現在の社会保険料の金額×2でオッケーではあるのですが、
確認しないといけない点がいくつかあります。
主なポイントは以下のとおりです。
・随時改定や、定時決定等で退職月の標準報酬月額が変わっていないか。
・退職月の年齢で、介護保険料などの対象(非対象)になっていないか。
・保険料率が変更していないか。
簡単に解説させていただきます。
退職月の標準報酬月額に注意!
例えば…
先ほどのケースのように、
5月31日で退職する社員さんから社会保険料を2ヵ月徴収するというの場合
中身は、4月と5月の社会保険料となります。
5月で随時改定していた場合、4月と5月の金額が変わってきます。
そんなときは、標準報酬月額を確認の上、控除額を計算する必要があります。
定時決定や、育児休業(産前産後休業)終了時改定も同様です。
介護保険料など、退職月の年齢に注意!
介護保険料は、40歳に到達する月から、65歳に到達する月までを徴収することになっております。
そのため、先ほどの5月31日で退職する社員さんが、
5月に40歳になった場合、逆に退職月に65歳になったときは
健康保険料と厚生年金保険料は2ヵ月分徴収しますが、
介護保険料は1ヵ月分だけ徴収することになります。
厚生年金保険料は70歳、健康保険料は75歳までとなりますので、同様にご注意ください。
※なお、法律上、誕生日の前日に歳をとりますので、例えば6月1日誕生日の方は、5月31日に40歳に到達することになりますので、ご注意ください。
保険料率の改定に注意!
標準報酬月額に変更がなくても、そもそもの保険料率が変わっているというケースもあります
厚生年金保険料率は、現在、変化しないことになっておりますが、
健康保険料と介護保険料は、毎年見直しがされます。(据え置かれることもあります)
保険料率改定のお知らせ等を確認し、改定されていたら、計算を行う必要があります。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
- 社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料)は、翌月のお給料で徴収がルール
- お給料の支払い形態によって、退職月の翌月のお給料がないor少額で控除できない時は、退職月で2ヵ月分徴収
- 単純に、2倍の額の控除でないときもあるので、標準報酬月額、年齢、保険料率を確認!
給与計算の際に、ご参考いただければ幸いです。
また、何かの事情で2ヵ月控除ができなかった場合は、
退職者さんへ会社が直接請求するケースが多いようです。
連絡がつかなくなり、回収ができないケースもあると聞きますので、
できるだけ2ヵ月徴収をしたいところですね。
社会保険料や給与計算でお困りのことは、
社会保険労務士へお任せください!
最後まで、お読みいただきありがとうございました。