社長も労災へ加入できる? 中小事業主特別加入とは

社会保険・労働保険等手続き

—とある中小企業を切り盛りする社長のケンタくんは何やら悩んでいるようです。

ケンタ
ケンタ

ミカン達がうらやましいな。

ミカン
ミカン

社長、どうしたんですか?

ケンタ
ケンタ

みんなと同じような仕事してるのに僕は社長だからケガしても労災保険は使えないんだよね。

ミカン
ミカン

うちのような中小企業の社長は申請すれば、労災に加入できるんですよ。

ケンタ
ケンタ

そうなんだね。とても助かるよ。

労災保険は労働者のための保険なので、本来はケンタくんのような社長は加入できません。

しかし、ケンタくんのような中小企業の社長のため

労災保険には特別加入という制度があります。

今回は特別加入の条件、メリットや手続きなどを書かせていただきます。

※特別加入には、中小事業主、一人親方等、海外勤務者の3種類がありますが、今回の記事は中小事業主の特別加入のものとなります。

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社長も労災へ加入できる? 中小事業主特別加入とは

中小企業は大企業と違い、社長などの経営者が従業員と同じように現場で一緒にお仕事をすることが多いかと思います。

ところが、そんな社長などが仕事中にケガをしてしまった場合、従業員のように国の労災保険の補償を受けることができません。

そんな社長さんたちを保護するためのものが特別加入という制度です。

どんなところが特別なのでしょう。

条件やメリットを見てみましょう。

労災保険の特別加入の条件は?

中小事業といっても、範囲がよくわからないかと思います。

労災の特別加入における中小事業主とはどのようなものか見ていきましょう。

  • 中小事業主と認められる範囲

加入できる中小企業の規模範囲は業種によって変わります。以下の通りです。

※労働者数は常時雇用されていればパート、アルバイトも含みます。また、規模の判断は事業ごとでなく企業を単位として行います。

  • 従業員を1人でも雇用していること。

これは国の労災保険が成立しているかどうかということを意味します。

つまり、最初から社長一人で従業員を雇ったことがない会社は対象外ということになります。

なお、労働者を通年で雇用していなくても、1年間に100日以上労働者を雇用していれば、この条件はクリアしたことになります。

  • 労働保険事務組合に事務処理を委託していること

労働保険事務組合とは、厚生労働大臣に認可された労働保険事務の委託業者のようなところです。

そちらへ、事務委託をしていることが必要になります。

僕の事務所もですが、社労士と連携していることも多いので、社労士へ相談してみてもよいかなと思います。

労災保険の特別加入のメリットは?

メリットとしては以下のものが挙げられます。

  • 労災保険に本来は加入できない社長等でも国の労災保険の補償を受けられる。

冒頭から記載の通り、これが一番大きなメリットですね。

なお、業務災害だけでなく通勤災害も対象になります。

  • 労働保険の概算保険料を延納(分割納付)できる。

これは厳密には労働保険事務組合のメリットなのですが、概算保険料の金額にかかわらず3回分割で納付ができるようになります。

本来は保険料が40万円未満の場合は一括納付となり分割はできません。

保険料は給付基礎日額で決まります。

従業員さんの労災保険の保険料は支払われる賃金によって決まりまるのですが、

それに対して、賃金のない社長等の保険料は給付基礎日額によって決まります。

給付基礎日額とはざっくり申し上げると日給のようなもので、事業主はこれを自分で決めることになります。(範囲は3,500円~25,000円までとなります)

特別加入者が休業補償等を受ける時の金額はこの日給のようなものをもとにして決まります。

そのため、

この給付基礎日額を高く設定すると保険給付の金額も高くなります。

そのかわり保険料も高くなります。

逆に

給付基礎日額を低く設定すると保険給付の金額も低くなります。

そのかわり保険料も安くなります。

具体的には

給付基礎日額✕ 365日✕ 保険料率(業種によって変動します)

これが計算式です。日額を一年分にしてから保険料を決めます。

仮に給付基礎日額を10,000円、会社の保険料率が3/1,000の場合

10,000円 ✕ 365日✕ (3/1,000)=10,950円(年間保険料)

1月あたり912円ですね。

民間の保険と比べて割安なケースが多いかと思います。

気を付ける点は?

とても良い制度である中小事業主の特別加入ですが、気を付ける点もあります。

いくつか見てみましょう。

保険料以外にも労働保険事務組合の入会金や年会費がかかる

特別加入に加入するためには労働保険事務組合へ事務を委託する必要があります。

そのため、保険料以外にも事務組合への費用が発生します。

ケガをしても給付が受けられない場合がある

本来加入できない事業主が特別にということなので、ある程度の制限がされてしまいます。

  • 事業主として仕事をしているときは対象外

特別加入は労働者と同じ仕事をしている事業主のための制度です。

そのため、役員会のときのケガなどは対象外となります。

  • 申請書の記載の業務・時間内でないと対象外

後ほど紹介します特別加入申請書という申請書にあらかじめ労働者の労働時間、業務内容を書くことになります。

この労働時間は定時を書くことになりますので、労働者の定時外の時間のケガは対象外となります。

同様に業務内容についても申請書記載の業務中のケガでないと対象外です。

  • ボーナスをもとに算定される特別支給金は受けられない

従業員さんの労災給付には、ボーナスをもとにした給付もあるのですが、

特別加入者は受けることができません。

特別加入申請書などを提出して手続きしましょう。

さて、手続きについてですがこちら労災保険特別加入申請書を提出することになります。

提出先労働局(労働基準監督署)なのですが、実際には事務組合へ提出して、事務組合から労働局へ送られることになります。

また、他にも事務組合の指定の用紙を色々と書くことになります。

事務組合によって、違ってきますので確認をしましょう。

なお、変更が生じたときの変更届はこちら

まとめ

いかがでしたでしょうか。

加入条件や手続きを中心に書かせていただきました。

注意点もいくつかありますが、特別加入は中小事業主の強い味方だと思います。

加入のご検討の参考にしていただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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