キョウスケくんは、この春大学を卒業した新入社員です。気になることがあり、友人のキリエさんに相談をしています。
今日、担当の先輩から僕の社会保険の手続きが終わったって言われたよ。
健康保険証を受け取ったりしたのね。
そうそう。保険証を受け取ったんだけど、社会保険って、健康保険のことなの?よくわかならいな…
社会保険という名前そのものの保険はないんだけど、健康保険や厚生年金保険の総称として使われている名前なのよ。
そうなんだね。知らなかったよ。
ブログへお越しいただきありがとうございます。
社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。
社会保険という言葉は、多くの方々が聞いたことがあるかと思います。
ところが、この社会保険という言葉…中身は、意外と面倒なことになっています。
今回は、社会保険ってそもそも何…?ということについて書かせていただきます。
今回の内容を動画でも解説させていただきました。
併せてご覧ください!
【狭義と広義の2タイプ】健康保険…?雇用保険…?社会保険の違いって?
さて、よく聞くようでよくわからない社会保険について、お話をさせていただきます。
冒頭のやり取りで登場したキョウスケくんには、引き続き参加してもらいます。
最初にご紹介しましたが、社会保険という名前そのものの保険はありません。
健康保険をはじめとした、いくつかの公的な保険を総称して社会保険と呼ばれています。
社会全体で保険料を集めて、国民の生活を守ろうといった制度です。
なるほど。健康保険は、色々な社会保険のうちの一つってことだね。
他には、どんなものがあるんだろう?
これが、ややこしいところで、僕も混乱することがあります。
実は、社会保険は、2つのタイプに分かれて捉えられています。
タイプ?AとBとか?
2つのタイプとは、狭義の社会保険と広義の社会保険というものです。
狭い意味と広い意味ってこと…?もっと具体的に知りたいな!
それでは、次の項で、狭義の社会保険と広義の社会保険をそれぞれ解説させていただきます。
狭義の社会保険は3つ!一般的に使われるものはコチラ!
狭義の社会保険は、以下の3つです。
健康保険、厚生年金保険、介護保険を狭義の社会保険といいます。
病院へ行くときの健康保険や、将来受け取る年金保険は、おなじみかと思います。
一般に社会保険というと、この3つのことを意味していることが多いです。
会社で社会保険に加入というときは、こちらのことと考えてほぼ間違いありません。
(社保完備!など求人で見るところもありますね)
介護保険って、初めて聞いたなあ。お給料から天引きされてないけど、まさか加入漏れ?
介護保険は、40歳以上から加入する社会保険です。
そのため、新卒のキョウスケくんは、まだ加入していないということですね。
そういえば、お給料からは雇用保険料が控除されているけど、これは社会保険じゃないのかな?
ここで広義の社会保険の出番がやってきます。
次の項で確認していきます。
【広義】広義の社会保険は、雇用保険や労災保険、国民健康保険なども含めて!
広義の社会保険の中身は以下の通りとされています。
狭義の社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険)
+
労災保険、雇用保険、国民健康保険、国民年金をまとめて、広義の社会保険といいます。
さすが、広義です。盛りだくさんです。
先ほど紹介した、狭義の社会保険の3つにプラスされる構成になっています。
つまり、狭義の社会保険(健康保険、厚生年金保険、介護保険)は両方のタイプに属するということです。
仕事中や通勤中のけがをカバーする労災保険や、失業中の給付などに使われる雇用保険はご存じの方も多いと思います。
さらに個人で加入する国民健康保険と国民年金が合わさっています。
雇用保険は、広義の社会保険に入るってことなんだね!
そういえば、労働保険って言葉を聞いたことがあるけど、これはなんだろう?労災保険と労働保険は違うのかな?
労働保険は、労災保険、雇用保険を合わせたものを指しています。
何だか、こんがらがってきた…
簡単に図解してみました。以下のようなイメージで見ていただければと思います。
【似ているけど違う】社会保障と社会保険の違いは?
社会保険と似たような言葉で、社会保障というものを聞いたことがある方も多いかと思います。
最後に簡単に、社会保障と社会保険って、どう違う?というお話をさせていただきます。
社会保障は、いわば総帥的なイメージです。
その総帥のもとに四天王的な存在がいます。そのうちの一つが社会保険というわけです。
残りの3人は、どんなものですか?
日本の社会保障は、社会保険のほか、社会福祉、公的扶助、保健医療&公衆衛生の分野があります。
社会保険は社会保障制度のうちの一つということです。
厚生労働省のホームページにわかりやすい表がありましたので、引用します。
出典: 厚生労働省 社会保障制度とは
国が主導で作られた社会のセーフティーネットという感じです。
まとめ ~国が主体であるところが、社会保険と民間保険との違い~
いかがでしたでしょうか。
- 社会保険は、いろいろな公的保険の総称。
- 狭義と広義の社会保険に分けていて、健康保険、厚生年金保険、介護保険を示す狭義の社会保険が、一般に社会保険として使われている。
- 広義の社会保険は、労働保険(労災保険、雇用保険)や、国民健康保険、国民年金までを含んだ形になっている。
よく聞くようで、意外と中身が複雑な社会保険をできるだけわかりやすく解説させていただきました。
民間の生命保険等と違うところは、国が主体となっているところです。
強制徴収が基本となっていて、税金も投入されています。
これからも社会のセーフティーネットの1つとして、重要な役割を果たすと思います。
ご参考いただければ幸いです。
解説動画も併せてご参考ください!
このブログでは、ほかにも社会保険のコラムを書かせていただきています。
社会保険事務所と年金事務所って、どう違うの?記事はコチラ⇊
そのほかの記事も是非お読みください!➡コチラ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。