病気やケガで仕事を休むときの収入として、健康保険の傷病手当金制度があります。
金額は、いくらになるのでしょうか?
ブログへお越しいただきありがとうございます。
社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。
健康保険の傷病手当金という制度をご存じでしょうか。
病気やけがで仕事ができない時の収入保障となる大切な給付金です。
この給付金は、いくらくらい受け取れるのでしょうか。
金額のシミュレーションと併せてご紹介します。
【お給料の2/3が目安】健康保険の傷病手当金の金額は、いくら?
まずは、だいたいのイメージをお伝えします。
傷病手当金の金額の大まかな目安は、お給料の2/3くらいとなります。
このイメージを持って続きをお読みいただけますと幸いです。
それでは、金額の確認をしていきます。
健康保険の傷病手当金は、次の様な計算式で算出されます。
【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
これで、対象日1日あたりの給付額が決まることになります。
標準報酬月額って何ですか?
標準報酬月額は、社会保険料を決める元になる金額で、お給料を参考に決定されるものです。
傷病手当金は、そのときの実際のお給料ではなく、標準報酬月額を使って金額が決まるということですね。
標準報酬月額については、以前解説記事を書かせていただいています。ご参考ください。
標準報酬月額については、分かりました。でも、計算式が、「÷30日」とか、「×(2/3)」とか…ごちゃごちゃしてよくわかりません。
次の項で実際にシミュレーションしてみます。
傷病手当金を実際に計算!
それでは、実際に計算してみます。
金額の大まかな目安は、お給料の2/3くらいのイメージでした。
例として、レイジくんに登場してもらいます。
令和3年5月1日から5月31日まで、体調を崩して休業していました。
傷病手当金を申請します。1日あたりの金額はいくらですか?
休業中は、お給料の支給はゼロでした。
まずは、式をおさらいします。
一日当たりの傷病手当金の額の算出法は、
【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×2/3
順番に、最初は標準報酬月額の確認をします。
支給開始日の以前12ヵ月間の平均なので、令和2年6月~令和3年5月の標準報酬月額を確認します。
令和2年6月~令和2年8月までは、280,000円、
令和2年9月~令和3年5月までは、300,000円でした。
この一年分の標準報酬月額を合計すると、3,540,000円になります。
これを12で割って、平均を出します。
3,540,000円÷12=295,000円です。
この金額が、支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額、いわば疑似月収といったイメージです。
次に、「÷30日」です。1ヵ月は大体30日なので、疑似月収の金額を1日分にするイメージです。
295,000÷30=9,833.33333…..となります。
ここでは、10円未満を四捨五入するので、9,830円です。これが疑似日給といったところです。
最後に、この疑似日給を2/3にします。ここで目安である、お給料の2/3につながりました。
9,830円×2/3=6,553.33333….円です。
こちらは、1円未満を四捨五入しますので、6,553円です。この6,553円が一日の金額となります。
そうすると、令和3年5月1日から5月31日までの休業だといくら支給されますか?
傷病手当金の支給を受けるためには、3日間の待機が必要になります。
(待機期間については、過去のブログ記事もご参考ください➡コチラ)
つまり、今回のケースだと実際に支給対象になるのは、5月4日~5月31日までの28日間となりますので…
6,553円 × 28日 = 183,484円 が支給額です。
入社12ヵ月未満などで、標準報酬月額がとれないときは
傷病手当金の計算の最初のステップとして、12ヵ月間の標準報酬月額が必要でした。
そうなると、入社1年未満などの人は計算ができなくなってしましますね。
そういったときは、別の方法で、標準報酬月額の平均額を算出します。
方法は、以下の2つのうち金額が少ないほうとなります。
① 資格取得月から支給開始月までの各月の標準報酬月額を平均した額
② 30万円 ※支給開始日がH31.3.31以前の場合は28万円。
②の30万は、前年度9月30日における全被保険者の標準報酬月額を平均した額とされています。
(協会けんぽでの金額なので、組合健保の場合は金額が異なる可能性があります。)
休業中の給与支給やほかの社会保険の給付があると、傷病手当金は不支給または減額されます。
先ほどのレイジ君は、休業中のお給料が出ていない設定でした。
そのため、計算した日額がそのまま支給されていました。
ところが、中には休業中でもお給料が出ているケースがあると思います。
また、障害年金などの給付を並行して受けているケースも考えられます。
そういったときは、傷病手当金は支給されないことになります。
ただし、金額が少ないときは、差額が支給されることがあります。
その他、傷病手当金の制度については、協会けんぽ又はご加入の健康保険組合のHPをご参考ください。
協会けんぽの傷病手当金のページはコチラ⇊
まとめ ~傷病手当金の金額は、標準報酬月額の等級が大切~
いかがでしたでしょうか。
- 傷病手当金の金額の大まかな目安は、お給料の2/3くらい
- 12ヵ月分の標準報酬月額の平均金額を使い、おおよその日給に近い金額を算出
- 入社12ヵ月未満のときは、別途算出方法がある。
標準報酬月額を利用するところが傷病手当金の大きな特徴となっています。
給与明細へ記載されていることも多いので、機会がありましたら確認してもよいかもしれません。
このブログでは、ほかにも社会保険のコラムを書かせていただいています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。