—社長のケンタくんのもとに従業員のタケルくんから退職届が届きました。
タケルくんから、退職届がメールで届いたんだけど、書面じゃなくて平気なのかな?
法律では退職の意思表示の方法は決まってないから大丈夫ですよ。
そうなんだね。紙でなきゃだめだと思ってたよ。
でも、後のトラブルを防ぐためには本人の署名があるものが良いと思いますよ。
確かにそうだね。
ブログへお越しいただきありがとうございます。
社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。
従業員が退職する際、退職届を提出するという手続きが通常かと思います。
その退職届の提出は書面での提出が一般的かと思いますが、
メールやLINEというかたちでの意思表示は有効なのでしょうか。
メールで提出があった場合はどんな問題が考えられるでしょうか。
今回は退職届のあれこれについての内容となります。
あわせて、退職届、退職届、辞表の違いについてもご紹介させていただきます。
[PR] アニメ観るなら<U-NEXT>
メールやLINEの退職届は有効?
早速ですが、有効か無効かという点での結論から申し上げますと、
メールでの退職届もLINEの退職届も有効です。
Word等の添付ファイルでなく、いわゆる本文ベタ打ちでも有効です。
もっと言ってしまいますと、口頭だとしても退職の意思表示は可能です。
理由は、法律上退職の意思表示の形式は何も決められていないためです。
しかし、有効ではあるもののいくつか、考えられる問題点があります。
メールやLINEでの退職届の問題点は?
さて、書面以外での退職届が有効であるということはわかりましたが、
やはり書面での提出がいまだに一般的な世の中です。
メールやLINEは言うまでもなく普及しており、とても便利ですよね。僕も使っています。
なぜ退職の意思表示としては使われないのでしょうか。
僕が思うにおそらくは、
不要なトラブルを防ぐためというのが一番の理由であると思います。
考えられることとして…
- 他人が成り済ましたという可能性が出てしまう。
- パソコンのエラーによる発信側、受信側のミスが起こりうる。
- 受信していてもメールを見落としている。
などが挙げられると思います。
あとは、単純に社会人としてのマナーとしても
重要な意思表示は書面でするべきというものもあることでしょう。
また、口頭で済ませてしまった場合は…
退職するなんて言ってません!
といった話が始まってしまうと、とても体力を浪費することになってしまいますね。
退職という意思表示は労使双方にとってとても重要なものとなります。
退職についての相談、という段階ではメールなどでも良いかと思いますが、
最後の退職届については、お互いのために
労働者の署名入りの書面を提出してもらうことをお勧めします。
退職届と退職願と辞表の違いは?
退職に関する書類として、
- 退職届
- 退職願
- 辞表
の3種類が有名かと思います。
これらは、名前こそ似ているものの意味合いはだいぶ違うものになります。
簡単に違いをご紹介いたします。
退職届は退職の意思表示
退職届は「退職します」という意思を表示、
つまり雇用契約の解除の届出のために提出するものとなります。
これによって退職が決まるというものになります。
退職願は退職の打診
退職届と名前がよく似ていますが、
退職願は「退職を考えています…」という意思を表示するものとなります。
つまり、退職願を提出した時点では退職は確定していないことになります。
実際は、退職届と退職願は同じように使われていることが多いかと思いますが、
厳密には異なる内容のものとなりますので、お気を付けください。
辞表は役員用
辞表は役員が退任するときに使うものになります。
また、公務員も辞表という形式をとるそうです。
会社員の方でも辞表という形で提出することもあるかと思いますが、参考までにご紹介させていただきました。
まとめ ~手間は掛かりますが、やはり書面が望ましいです~
いかがでしたでしょうか。
退職届のあれこれについて、ご紹介させていただきました。
最近では、遅刻や欠勤の連絡はメールやLINEで済ませるという会社も増えているそうです。
会話グループを作れば一回で複数へ伝えられたりと便利ですね。
僕も同様の経験がありました。
ただ、本文でも触れましたが
退職に関することはやはり署名のある書面が良いのかなと思います。
お互いのトラブルを防ぐためにも、ご参考いただければ幸いです。
労務管理に関するお困りのことはございませんか?
社会保険労務士へお任せください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。