—体調が悪いというマサオくんから、総務のココアさんへ電話がかかってきました。マサオくんは気になることがあるようです。
すみません。熱が下がらないんで今日はお休みしたいんですが。
お大事にね。
今からじゃ有給休暇にはできないですよね。
前日までの申請が原則だけど、うちの会社は病気の場合、後からの申請を認めてるのよ。
そうなんですか。ありがとうございます。
ブログへお越しいただきありがとうございます。
社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。
一定の要件を満たした労働者は誰でも年次有給休暇を付与されます。
心身のリフレッシュを目的とした労働基準法で認められた権利です。
もちろん使い道は労働者が自由に決めることができます。
では、休む当日になって体調不良を理由に有給休暇を使うことはできるでしょうか。
今回は有給休暇の取り方や、事後申請について書かせていただきます。
有給休暇は、あとから申請できる?有給の取り方ルール
結論から申し上げますと、
有給休暇は事前に請求するのがルールなので、
当日の請求は原則としてできません。
なぜ、そういったルールがあるのでしょうか。
有給休暇のルールと例外を認める方法について確認していきましょう。
休業規定の見直しは、社会保険労務士へお任せください。
有給休暇の取得は原則1日単位
さて、これは僕の体験談なのですが、
事前申請がルールってことだけど、午前9時が始業時間ならそれまでに申請すればセーフなんじゃ…
と思っていました。
ところが、そうではありませんでした。
有給の取得は原則として一日を単位とする。
というルールがあります。
この場合の一日とは原則、午前0時から24時間と決まっております。
そのため例えば…
始業時間の前である8時50分に会社へ有給休暇の申請をしたとしても
それは午前0時を過ぎているため(=当日のため)事後請求になってしまう
ということです。
なぜ事後請求がダメなのか
では、なぜ事後請求がダメなのか、労働者の権利なのになぜ制限がかかるのか、
ということについてのお話となります。
有給休暇は確かに労働者の権利ですが、
使用者(会社)側には時季変更権というものが認められています。
簡単に言えば、
その日その人が休んでしまうと会社が回らないので、別の日に休んでください。
と、いった具合で休む日を変更する権利です。
事後請求をされると、会社側がこの変更権を検討することができなくなってしまいます。
最低でも、前日までに、労働者からの申し出がないと考えることができませんね。
とはいえ、体調が悪くて休む人に変更権を使うことはないかと思いますが…。
こういった事情で、有給休暇は事前の請求がルールとなってます。
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事後申請が認められる場合は…
それでは、どんなときなら事後申請が認められるのでしょうか。
例外について確認します。
就業規則を確認
一番確実な方法は、会社の就業規則に事後申請のことを記載することです。
例えば…
病気等でやむを得ない理由のある場合は、当日、または〇日以内の年次有給休暇の事後申請を可能とする。
といった感じでしょうか。
こういった文言を追加しておくことで、運用がスムーズになります。
まずは、就業規則を確認されることをお勧めします。
規則がない場合は…欠勤?
逆に、こういった規則がなければ事後請求はできないので、
会社としては、欠勤扱いが可能となります。
ただし、上長の判断で事後請求を認めていた慣例がある場合は、
事後請求を認めなければなりません。
上長によって、認める認めないの判断が異なってしまっては不公平が生じてしまいます。
こういった慣例があるかどうかという点も、確認されることをお勧めします。
どちらだとしても、
スムーズな業務運営のためには、就業規則で明確に規定することがトラブルの予防にもつながりますので、おすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
有給休暇のルールについて、ご紹介させていただきました。
ルールはないけど何となく…
と、当日の有給申請を認めている会社さんも、中にはいらっしゃるのかなと思います。
しかし、何となくはトラブルにつながる恐れがあります。
会社のため、労働者のため、規則等を見直すきっかけになれば幸いです。
年次有給休暇や、就業規則の見直し等でお困りのことは、
社会保険労務士へご相談ください!
「日本と海外の年次有給休暇の取得率はどれくらい?」の記事は➡コチラ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。