社会保険(健康保険・厚生年金・介護保険)に加入する社員は給与から保険料を控除します。
保険料は、標準報酬月額を元に決まりますが、分からない時はどうすれば良いでしょうか。
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社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。
社会保険に加入する新入社員は、資格取得届を作成し、標準報酬月額が決まります。
その標準報酬月額を元に、保険料を計算します。
決定通知書が届かず、最初の保険料が分からないということは、ありませんでしょうか。
決定通知書が届かない!新入社員の社会保険料がわからない時の対処法は?
社会保険に加入する社員を採用したときの保険料の流れは…
採用→資格取得届の提出→決定通知書で標準報酬月額を確認→保険料計算→給料日
というのが、一般的だと思います。
決定通知書が手元にあれば、その標準報酬月額を元に保険料を計算します。
ところが…
給料日までに決定通知書が届かない…。
何かの都合で資格取得届の提出が遅くなったりすることもあるかもしれません。
最初の標準報酬月額が分からない時は、2つの対処策が考えられます。
なお、月給で当月払いをしているときは最初の給料からは厚生年金・健康保険・介護保険料を控除しないことが多いです。
保険料の控除開始時期については、以前解説をさせていただきました。
併せてご参考ください。
資格取得届の内容から標準報酬月額を計算
ひとつ目は、資格取得届の内容から標準報酬月額を先行して計算することです。
資格取得届には、報酬額を記載して提出しています。
何かの不備がない限りは、記載された金額を元に標準報酬月額が決定されます。
どうやって標準報酬月額を確認するのでしょうか
標準報酬月額は、等級表に基づいて決まります。
協会けんぽの表をご紹介します。
➡ 全国健康保険協会(協会けんぽ) 被保険者の方の健康保険料額(令和6年3月~)
※ 都道府県ごとに保険料率が違いますが、等級区分は全国一律です。
例えば、資格取得届に記入した報酬額が268,000円だとして、表に当てはめてみます。
報酬額が268,000円だとすると、標準報酬月額は260,000円となることが分かります。
ただし、このように先行して計算した時はあくまでも仮の状態となります。
決定通知書が届いた後に、標準報酬月額の確認をお忘れないようお気を付けください。
次月でまとめて徴収する方法
もう一つの方法は、徴収を1回分スキップして次月で2か月分徴収する方法です。
決定通知書の金額を確認することを重視すると、こちらの方法となります。
この方法は確実性はありますが、お給料から2か月分の保険料が控除されることになります。
社員さんの負担が大きくなりますので、説明をしてから対応されるのをお勧めします。
また、保険料率変更のタイミングを跨いだ場合は、単純に倍額とならないことがあるので、ご注意ください。
例えば、健康保険料率は毎年3月から変わることが多いため、3月4月分をまとめて徴収するときは倍額とはならない可能性があります。
雇用保険料は?
お給料から控除する保険料と言えば、雇用保険料もあります。
雇用保険料については、標準報酬月額の仕組みを使いません。
そのため、決定通知書に関わらず、お給料の支払いごとに保険料を控除します。
参考に、厚生労働省の保険料率表をご案内いたします。
保険料率は、業種によって決まります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
最初の社会保険料が分からない時の対処法についてご紹介いたしました。
- 標準報酬月額は資格取得届の内容から先行して計算することができます。(後日、通知書の内容と一致しているかご確認ください)
- 徴収を1回分スキップして次月で2か月分徴収するのも、一つの方法です。(負担が大きくなるので、社員さんへの説明を推奨いたします。)
- 雇用保険料は、標準報酬月額と関係ありませんので、通常通り控除します。
保険料計算の際は、ぜひご参考ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。