入社前研修は無給?有給?

しごとのコラム

—大学卒業を控えたマサオくん。なにやら憂鬱なことがあるようです。

マサオ
マサオ

今度、内定先の入社前研修があるんだ。卒業旅行の準備もあるのに行きたくないなぁ。

ハナコ
ハナコ

それは大変だね。

マサオ
マサオ

そういえば、研修はお給料が出ないんだよ。入社前だから仕方ないのかな?

ハナコ
ハナコ

研修が義務かどうかで変わってくるのよ。

マサオ
マサオ

そうなんだね。会社に確認してみよう。

労働時間に対して、賃金を支払う。

働くうえで一番大切な決まりですね。

それでは、入社前の研修はどうでしょうか。

僕の実体験も踏まえて、今回は入社前研修のお給料について書かせていただきます。

類似記事➡「始業前の掃除の時間は労働時間?お給料は必要?

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入社前研修は無給?有給?

入社前研修は無給?有給?

新卒の内定者さんは年明けから入社前研修がある方もいるのではないでしょうか。

グループワークやマナー研修やレポート作成…色々なものがあります。

入社後、スムーズに業務に入れるという点で効果的ですね。

しかし、その時間は労働時間にあたるのでしょうか。

考え方としては、「労働時間になれば、賃金(給与)の支払いが必要になる。ということになります。

労働時間になる…?ならない…?よくわかりません。

ケースごとに確認していきましょう。

研修参加が義務付けられていたら労働時間=賃金が必要

研修参加が義務付けられていたら労働時間=賃金が必要

労働時間になるかならないか…?について、最もわかりやすい考え方は、

「研修が義務であるかどうか」という点です。

入社前であっても研修が義務付けられていれば、労働時間にあたります

つまり、賃金の支払いが必要ということです。

内定者の段階であっても、研修中は、その会社の労働者という扱いを受けることになります。

参考に、厚生労働省のリーフレットをご案内いたします。

次の項では、形式上は義務と扱われていないときについて解説させていただきます。

研修の参加が、明確に義務付けられていない場合は?

研修の参加が、明確に義務付けられていない場合は?

それでは、明確に義務とされていなかったらどうでしょう。

こちらは、実態によって判断されます。

例えば、これは僕の体験談となります。

 ~ぼくの研修記録~

4泊5日の合宿形式の入社前研修(きついものでした)

はっきりと義務とは言われていなかったものの、

都合をつけ、参加するのが当然、といった位置付け。

合宿最終日に配属先の発表があり、新入社員にとっては事実上参加を断れない。

(同期の一人は卒業旅行をキャンセルしてまで参加していました)

こういったタイプの研修は、表面上義務とされていなくても実質的に参加が強制されているものとなり、賃金の支払いが必要になります。

できるだけ明確に実施をしたほうがお互いのために良いでしょう。

入社前研修自体は、違法ではありません。適正な研修実施のために。

入社前研修自体は、違法ではありません。適正な研修実施のために。

ちなみに、僕が参加した合宿研修は交通費と朝、昼、晩の食事は出たものの、賃金の支払いは全くありませんでした。

とはいえ、今さら当時の会社を悪く言うことがこの記事の目的ではありませんので、入社前研修の上で気を付ける点を書かせていただきます。

もちろん、入社前研修を行うこと自体は何ら違法なことはございません。

適切に実施していただき、よりよい業務運営に繋げていただければ良いなと思います。

賃金はいくら払えばよいか。

さて、労働時間に該当する入社前研修が行われるとして、賃金はいくらを支払えばよいのでしょうか

これについては、必ずしも入社後の基本給をベースにする必要はないとされています。

基本月給を時間で割って、1時間あたりの…という計算は不要ということですね。

とはいえ、最低賃金を下回ってしまうのはアウトです。

ご確認のうえ賃金を決定されるとよいかと思います。

労働条件通知書(雇用契約書)の作成が必要になります。

内定者は4月1日から採用されるので、内定に対する雇用契約はそこから始まります。

それなら、研修中は賃金だけ払えば労働条件通知書(雇用契約書)は不要かな、と考えられてしまいそうですが、こちらも雇用契約になります。

労働条件通知書(雇用契約書)の作成が必要になります。

イメージ的には短期のアルバイトさんに作成するようなタイプが良いと思います。

厚生労働省のモデル労働条件通知書をご案内いたします。

➡ 厚生労働省 主要様式ダウンロードコーナー
ページの下のほうにあります。

労災が認められないことも? 

一日だけのアルバイトでも労働時間中のケガは労災保険で補償されます。

もちろん、入社前研修の学生も適用されます。

あくまでも可能性の話なのですが労働基準監督署は、研修中の内定者に対して

  • 賃金が支払われていない(または最低賃金以下の賃金)
  • 雇用契約書を交わしていない

などの事実があると、

労働者性を否定し、労災給付を認めないことがあるそうです。

そういったことにならないよう、適正に研修を実施していただければと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

研修は入社後に行えば間違いない、という見方もできますが、会社さんによっていろいろと事情があるかと思います。

僕の会社は小売業で、入社後は各店舗に配属となり皆が揃うのは難しい会社でした。

適正に実施することが大事ということですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

☆この記事を書いた人☆
社労士 鈴木翔太郎

東京の秋葉原の社会保険保険労務士です。
社会保険・労働保険などの手続きを中心に労務関係のお仕事をしています。ハローワークや年金事務所・労働基準監督署へ提出する書類でお困りの際はぜひお声かけください。
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