—ケンタくんは、とある会社の社長さんです。気になることがあるようです。
労働者を雇ったら、労働者名簿を作らなきゃいけないんだね。
そうですね。労働基準法で義務付けられている大切な書類ですよ。
名簿ってことは、名前を記入しておけば良いのかな?
名前以外にも、記載が義務付けられている項目がありますよ。罰則もあるので、要注意ですよ!
そうなんだね。ちゃんと作らなきゃね。
ブログへお越しいただきありがとうございます。
社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。
事業主は、労働者を雇い入れたら、労働者名簿を備え付けることが義務付けられています。
労働者名簿とは、いったいどんなものなのでしょうか?
今回は、労働者名簿についてのご紹介です。
【様式19号 記入例有り】会社の義務!労働者名簿の書き方【ダウンロード】
労働者名簿は、出勤簿、賃金台帳と並ぶいわゆる法定三帳簿のうちの一つです。
労働基準法で作成が義務付けられている大切な書類になります。
賃金台帳は、お給料関係…出勤簿は勤務時間関係…
ということは、労働者名簿は名前を記入していくのかな…?
出勤簿などと比べるとなじみが薄いかもしれません。
労働者名簿は、名前以外にもいくつかの記載事項が決められています。
実際の様式を確認してみます。
労働者名簿のひな形は、インターネットでダウンロード
労働者名簿のひな形は、厚生労働省・労働局などのホームページよりダウンロードができます。
エクセル、ワード、PDFの3種類をご案内いたします。
記載しなければいけないことは、以下の通りです。
- 氏名
- 生年月日
- 履歴
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類
- 雇入の年月日
- 退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)
- 死亡の年月日及びその原因
※ 6.「従事する業務の種類」は、常時30人未満の労働者の事業所(会社)では、不要。
基本的な情報が多いですが、履歴という項目が気になります。
いったい何の履歴なのでしょうか。
労働者名簿の履歴とは?
記載事項の内容は、9つあります。
だいたいはイメージできるかと思いますが…
労働者名簿の履歴って、何?
という方も、多くいらっしゃるかもしれません。
この履歴については、労働基準法では特に決まりがありません。
労務管理に使う書類なので、社内での異動や昇進の履歴を書くことが一般的とされています。
最終学歴や、前職などを記入するケースもあるようですが、必要に応じて判断という形です。
そのため、この欄は、適宜更新するということになります。
変更については、遅滞なく行うこととされています。
様式第19号を使わなくてもオッケー
厚生労働省などでは、労働者名簿は先ほどご紹介の様式第19号が案内されていますが、必ずしもこれを使う必要はありません。
法定の必要記載事項が記載されていれば、任意の様式で問題ありません。
会社さんが独自に項目を追加して、備え付けておくのも良い方法だと思います。
例えば、基礎年金番号や雇用保険番号などを記入しておくのも一つの方法ですね。
こういった番号は、いざというときサッと出てくると意外と便利です。
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【記載例】労働者名簿の書き方を確認
ここまで、労働者名簿の必要な記載事項や、様式についての確認をしてきました。
実際に労働者名簿を作ってみる前に、ひとつ事例をご紹介します。
氏名 ココア(性別・女性)
生年月日 平成5年8月20日
住所 〇〇県△△市1-1-1
最終学歴 平成30年3月31日 〇〇学校卒業
従事する業務の種類 経理
平成30年4月1日入社 ➡ 令和2年4月1日より経理部係長へ昇進
令和3年7月31日 自己都合により退職
こちらのココアさんの労働者名簿の見本がこちら。
退職済みという設定にしたので、退職欄の記入があります。
在籍中でしたら、ここは空欄になります。
労働者名簿は、誰が書く?
労働者名簿は、会社の人事等の担当者さんが記入することになっています。
労働者さん本人が書くものではありませんので、ご注意ください。
社長さんや、日雇いさんの労働者名簿は、作成不要!
労働者名簿は名前の通り「労働者」管理の名簿なので、社長さんや役員さんの作成は不要です。
また、アルバイトでも作成が必要になりますが、日雇い労働者は対象から外されています。
労働者名簿の保管期間は、5年
労働者名簿は、保管期間が定められています。
保管期間は、5年です。(労働基準法第109条)
いつから数えて5年ですか?
5年の起算日は、退職または死亡日から、となっています。
保管期間についても、労働基準法で定められています。
廃棄しないように、お気を付けください。
労働者名簿の違反には、罰則あり!
ここまで、労働者名簿は労働基準法で作成義務があることや、5年の保管義務があることをご紹介しました。
これに違反した場合は、罰則が設けられています。
どんな内容の罰則ですか?
罰則は、30万円以下の罰金となります。(労働基準法第120条)
これは、そもそも作成していないこと以外にも、5年の保管期間を守っていないことも対象になります。
ご注意ください。
まとめ ~労働者名簿は、データ保存も可能~
いかがでしたでしょうか。
- 労働者名簿は、労働基準法で作成が義務付けられている法定帳簿
- 労働者名簿(様式第19号)のひな形は、インターネットでダウンロード可能(ただし、必要事項が記載してあれば、様式は自由)
- 名前以外にも、法定の必要記載事項がある。
- 労働者名簿の保管期間は、退職又は死亡日から5年間。
- 違反をすると、30万円以下の罰金の罰則がある。
作成の際、ご参考いただければ幸いです。
労働者名簿は、データで保管することも可能となっています。
更新作業も簡単にできますので、パソコンの環境が整っていれば、データ保存が良さそうですね。
クラウドやUSB等で保管するのも良いかと思います。
このブログでは、ほかにもお仕事に関するコラムを書かせていただいています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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