ケンタくんは、中小企業の社長さんです。定年退職後、再雇用をしたオサムさんのことで気になることがあるようです。
オサムさんの再雇用の手続が一通り終わったよ。
お疲れさまでした。オサムさんが継続してくれてよかったですね。
そういえば、オサムさんは1日も開けず再雇用になったけど、年次有給休暇って、リセットしちゃうのかな?
定年退職しても、雇用は継続しているので有給日数も勤続年数も継続されますよ。
そうなんだね。安心したよ。
ブログへお越しいただきありがとうございます。
社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。
60歳を過ぎると、定年退職をして65歳まで再雇用というケースは多いです。
いったん退職をすることになりますが、年次有給休暇はどうなるでしょう。
今回は、定年再雇用後の年次有給休暇について紹介します。
【休暇日数は継続・勤続年数は通算】定年再雇用後の年次有給休暇は、リセットされる?
現在、冒頭のやり取りのオサムさんのように、定年で退職後、1日も間隔をあけずに嘱託等に雇用形態を変えて継続雇用されるというケースは、一般的になっています。
雇用自体は、継続されますが、退職という状態を挟んでいます。
年次有給休暇の扱いはどうなるのでしょうか。
定年再雇用後も、年次有給休暇の日数は継続され、勤続年数は定年前から通算されます。
確かに、形式上は退職を挟むことになりますが、実質的に雇用が継続されていれば、労働基準法上は継続雇用という扱いになります。
そのため、再雇用前の年次有給休暇の日数は再雇用後も継続されます。
また、再雇用後に付与される年次有給休暇の日数は、定年前からの勤続年数を通算して、計算されます。
退職金を受け取っていても、継続勤務扱い
定年再雇用の時に、退職金を受け取っているのですが、それでも継続されますか?
定年再雇用の時に、退職金を受け取るケースも多いと思います。
退職金を受け取っていても、扱いは同様です。
年次有給休暇の日数は継続され、勤続年数は定年前から通算されます。
あくまでも、勤務の実態で判断ということですね。
参考に、厚生労働省のQ&Aをご案内いたします。
この取り扱いは、行政通達の(昭和63年3月14日基発150号)が根拠になっています。
定年退職と再雇用の間が相当期間空いてしまうと、リセットされます。
先ほどの例は、定年退職と再雇用が一日もあかないというケースでした。
中には、定年退職をした後に時間をおいて再雇用というケースもあるかもしれません。
そういったときは、年次有給休暇はリセットされることになります。
定年前の休暇はゼロになり、付与するときの勤続日数もリセットされてしまいます。
先ほどの労働基準法の行政通達(昭和63年3月14日基発150号)によると、定年退職日と再雇用日との間に相当期間が存し、客観的に見て労働関係が断続していると、年次有給休暇は継続されない。
という部分があります。
相当期間の具体的な日数は、言及されていませんが、雇用が継続されているとは考えにくいときは、リセットすることが適当とされています。
ご参考ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
- 定年で退職後、1日も間隔をあけず再雇用された場合、年次有給日数は継続、勤続日数も通算されます。
- 形式上は退職を挟んでも、実質的に雇用が継続されていれば、労働基準法上は継続雇用という扱いをされます。
- ただし、相当期間の間をあけて再雇用された場合、リセットされます。
年次有給休暇は、大切な労働条件ですので、ご参考いただければと思います。
また、定年再雇用の時は、社会保険の同日得喪という手続きをとるケースも多いです。
以前、解説をさせていただきましたので、併せてご参考ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。