—繁忙期が近いため、ケンタくんの会社でアルバイトの募集をしたところ、夏休みと重なった高校生(16歳)が応募をしてきました。
この前、面接に来た高校生を採用することにしたよ。
頑張ってくれそうでしたもんね。
うん。若さを生かして、バリバリ働いてもらえそうだよ。
でも、16歳の高校生に法定外の時間外労働はさせられないから気を付けてくださいね。
そうだったね。時間管理に注意しよう。
労働基準法では、18歳未満の子供を年少者と呼び、特別な保護をいくつか設けています。
労働時間等で一般の労働者と異なる管理が必要になります。
必要な提出書類の手続きもありますので、注意事項と一緒にご紹介させていただきます。
高校生のアルバイトを採用!注意点は?
冒頭のやり取りでは、夏休み中の高校生という例を取り上げましたが
レストランやコンビニなどのお店では、時期にかかわらず、
高校生のアルバイトを採用することは多いのではないでしょうか。
僕自身も、最初のアルバイトは高校生の頃でした。初めての仕事は良い思い出です。
18歳未満の年少者の中でも「15歳になった後の最初の3月31日まで(義務教育終了という意味です。)の子供」を労働基準法では児童と呼んでいます。
児童の扱いは別に規定されていますので、記事の後半でご紹介します。
まずは、一般には高校生である、義務教育終了から18歳までの年少者についてご紹介いたします。
ちなみに、高校生でも18歳になっていれば、この記事でご紹介する年少者にはなりません。
労働基準法では18歳以上の労働者と同じ扱いが可能になります。
ただし、高校生の場合は校則との兼ね合いもありますので、お気を付けください。
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早速ですが、労働基準法を引用します。
使用者は、満18歳に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない。
労働基準法57条
要するに、年齢を確認したうえで雇用してますよという証ですね。
なお、条文には戸籍証明書とありますが、住民票記載事項証明書でオッケーです。
この確認には2つの確認の意味があります。
- 15歳の年度末までの児童でないことの確認
- 18歳未満の年少者であることの確認。
後半で記載しますが、15歳年度末までの児童は原則、労働者として雇用できません。
また、年少者についてはこの後ご紹介するように、時間外労働や深夜労働での規制がされています。
以前、17歳の高校生に深夜労働をさせた会社が処罰されたというニュースがありました。
「18歳と聞いていた」とのことですので、こういった確認をしていなかったことが予想されます。
仮に従業員が詐称していても、年齢の確認は会社の義務になり、会社が処罰の対象となってしまいます。
会社を守るためにも、ぜひ確認をしていただければと思います。
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年少者は、時間外労働・深夜労働などに制限
年少者である期間は、一般に心身がまだ発育途上にあります。
そのため、労働基準法では一般の労働者に比べて、様々な規制をして、保護を図っています。
- 時間外労働・休日労働の禁止
- 深夜労働の禁止
- 変形労働制の禁止
順番に確認していきましょう。
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時間外労働・休日労働の禁止
ここでいう時間外労働は、法定労働時間(1日8時間)を超える残業のことです。
そのため、定時の時間を超えても労働時間8時間まではこの規制にはかかりません。
例えば…
就業時間 9時~17時(休憩60分)の場合
定時の17時では、まだ労働時間が7時間ですね。
そのため、18時までの残業は命じることができます。それ以降は禁止です。
考え方は36協定の残業と同じです。
休日労働についても、
1週間に1日設けなければならない法定休日の勤務を指すことになりますので、
それ以外の所定週日の勤務は、この規制外のことになります。
とはいえ、年齢と心身の状態を考慮すると
できるだけ労働時間は抑えたほうが良いのかな、とは思います。
ただし、非常災害の時は労働基準監督署の許可を受けて時間外労働が可能になります。
これは緊急の場合は事後の許可でも良いとされています。
深夜労働の禁止
労働基準法の深夜時間は夜10時から朝5時までと決められています。
この時間に労働させることは、禁止されています。
ファミレスやコンビニなどのお店では特に要注意ですね。
ただし、例外として以下のケースが認められています。
- 満16歳以上の男性を交替制で労働させる場合
- 交替制をとっている会社が午後10時30分まで労働させる場合(労働基準監督署の許可が必要です)
- 農林業、水産・養蚕・畜産業、保健衛生業、電話交換業務に就く場合
- 非常災害などで臨時の必要がある場合
変形労働制の禁止
変形労働制とは、簡単に申し上げますと
手続きを踏めば、
一日に8時間、一週間に40時間という法定労働時間を変形させて良いですよ、というものです。
労働基準法では
一カ月単位、一年単位、一週間単位の変形労働時間制と
フレックスタイム制が規定されています。
これについて、年少者には適用できないとされています。
ただし、これにも例外が設けられています。
- 1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮することを条件とすれば、他の日の労働時間を10時間まで延長が可能
- 1週間については48時間以下の範囲、1日について8時間を超えない範囲で、1ヶ月および1年単位の変形労働時間制を適用すること。
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児童は原則、労働禁止!子役は?
まず、原則なのですが、義務教育中である満15歳の年度末までの子供を労働させることは、できません。
先ほどの18歳のケースは年度末という縛りはありませんでしたね。
児童の規制は、
義務教育中であることが理由なので、年度末までというルールがあり、
18歳の規制は、
高校生を想定しているわけではなく、単純に心身の発育に影響への考慮からきているから、
といったところかと、僕は考えてます。
では、原則禁止となると、映画の子役はどうなってしまうのでしょうか。
例外を確認していきます。
満13歳以上は軽易な非工業的業種なら、オッケー。
軽易な非工業的業種とは、物流倉庫内での軽作業などが挙げられます。
こういった業種に
- 健康や福祉への害がないこと
- 就学時間外に労働させること
- 労働基準監督署の許可を受けること
という条件をクリアすれば可能となります。
満13歳未満でも映画・演劇ならオッケー
先程、ちらりと触れた子役のことですね。
子役の場合は13歳未満でも大丈夫です。
そりゃそうだ、という感じもありますが、演劇をしている時間も
その子にとっては労働時間です。
労働基準監督署の許可は必要になりますので、ご注意ください。
なお、年齢証明のほかに学校長の証明書や保護者の同意書も必要になります。
労働時間にも制限有
児童の労働時間は就学時間を通算して管理する必要があります。
具体的には…
- 一週間については、就学時間を通算して、40時間まで。
- 一日については、就学時間を通算して、7時間まで。
とされています。ともに休憩時間は除きます。
また、深夜時間も通常と異なる扱いがされており
- 演劇子役の場合は午後9時から午前6時まで
- 子役以外の場合は午後8時から午前5時まで
とされています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
子どもを酷使してきた歴史から、こういった労働基準法の規制が生まれたのかもしれません。
なお、高校生であっても最低賃金や年次有給休暇の規程はもちろん適用されます。
適切な労務管理をしていただければと思います。
年少者の採用などの労務管理でお困りの方のことは、
社会保険労務士へご相談ください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。