毎月給料日に、支給額などの書かれた給与明細書を受け取っているはずです。
意外といろいろなお金が控除されていると思ったことはありませんでしょうか。
ブログへお越しいただきありがとうございます。
社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。
毎月受け取る給与明細には、多くの情報が書かれています。
支給額以外にも色々なものが控除されています。
今回は、給与明細に書かれている控除項目についてご紹介いたします。
【厚生年金料・健康保険料】給与明細の控除される項目を確認!【雇用保険料】
給与明細を受け取り最初に見るのは、恐らく支給に関する欄かと思います。(僕だけでしょうか…)
給料の総支給額に対して、手取り額が意外と少ないな…と思うことは多くの方が経験しているのではないでしょうか。
よく見ると、色々なお金が控除されています。
でも、実はお給料からお金を控除することは、法律で禁止されています。
じゃあ、うちの会社は法律違反ってこと?
…と思うかもしれません。
賃金の控除は基本的には禁止ですが、法令で認められたものはオッケーとされています。
現在は、以下のものが認められています。
1.~3.をまとめて社会保険料と呼ぶことも多いです。
なお、上記のもの以外でも労使協定や労働協約があれば、控除することが可能となります。
今回の記事では、労使協定はないものとして、法令で認められた項目を中心に解説させていただきます。
標準報酬月額を確認!厚生年金保険料・健康保険料・介護保険料が控除
社会保険に加入していると、社会保険料が控除されています。
厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料(40歳~65歳のみ)の3つです。
これらの金額は、標準報酬月額という金額を元に決まることになります。
標準報酬月額はいくつかの方法で決まることになりますが、概ね現在のお給料の額に近い額になっているはずです。
標準報酬月額は、基本給だけでなく通勤費や各種手当も含んだ金額で決まることになります。(一部除外される金額もあります。)
お給料から控除される社会保険料の保険料率は、それぞれで異なります。
厚生年金保険料は9.15%です。
健康保険料率は、5%前後です。(加入する都道府県の協会けんぽ、健康保険組合によって率に若干の差が出ます。)
介護保険料率は、約1%です。(こちらも協会けんぽ組合健保で若干の差が出ます。)
協会けんぽと組合健保については、こちらの記事もご参考ください。
厚生年金保険料は、受け取るときの年金に反映されます。
健康保険料は、病院へ行くときの健康保険利用や、病気などで休業するときの傷病手当金などに使われることになります。
介護保険料は、介護が必要になったときの介護用品の購入や住宅改修などのサービスの財源になります。
失業給付などの財源!雇用保険料が控除されます。
雇用保険の加入要件を満たすと、雇用保険料が控除されます。
社会保険より加入の間口が広いので、アルバイトでも加入しているケースが多いです。
雇用保険料は、毎月のお給料ごと保険料率を掛けて、計算されます。
お給料から控除される現在の保険料率は、0.3%です。(農林水産・清酒製造・建設業は0.4%)
令和4年10月より0.5%に変更されます。(農林水産・清酒製造・建設業は0.6%)
いわゆる基本給だけではなく、通勤費や、残業代なども含んだ金額に保険料率を掛けます。
雇用保険は、失業した時の給付金や育児休業中の給付金などに使われます。
労災保険料は、全額が会社負担
社会保険、雇用保険とくると、労災保険料は?と思う方もいるかもしれません。
労災保険料については、全額が会社が負担しています。
僕は労災保険料控除されていないけど、労災使えるのかな?
と思うかもしれませんが、労災は利用できます。
ご安心ください。
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違いを確認!所得税・住民税も控除されます。
そのほか、一部の税金もお給料から控除されます。
所得税と住民税です。
税金という点では同じですが、大分違った特徴を持っています。
特徴をご紹介します。
※こちらの税金は、簡単な特徴の紹介とさせていただきます。詳細は税務署または税理士さんへご確認をお願いいたします。
所得税は、給与所得の源泉徴収税額表にあてはめた金額を、毎月控除していきます。
社会保険の標準報酬月額に似ていますが、扶養人数も考慮されて金額が決まります。
また、所得税の特徴は1年が終わったら、税額を確定する点です。
前もって納付をして、あとで精算という形です。
つまり毎月の控除額は、だいたいの金額になります。
年末調整や確定申告で正確な税額を出すことになります。
控除しすぎていたら還付、足りなければ追加で納付という形ですね。
一方、住民税は前年の所得に応じて当年の年税額が決まります。
年税額を12等分して控除していきます。(控除は6月~翌年5月というサイクルになります。)
初任給では、住民税控除は基本的にありません。
住民税の特徴は前年の所得で決まることです。
新卒の社員さんは、前年所得は少ないことが多いので、ほとんどの場合、初年度は住民税ゼロです。
2年目の6月から住民税控除が始まるのが一般的です。
6月からお給料の手取りが減った!
というときは、住民税がスタートした影響というケースが良くあります。
明細書をご確認ください。
まとめ ~給与明細の発行義務は?~
いかがでしたでしょうか。
- 毎月のお給料からは、様々なお金が控除されています。
- 法令で認められているものは、厚生年金保険料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料と所得税・住民税です。(他にも労使協定や労働協約があれば、控除することが可能となります。)
- それぞれ控除項目に特徴があります。
給与明細は、発行の義務があるのか気になる方がいるかもしれません。
これについては、所得税法という法律で発行が義務付けられています。(231条)
振り込んで終わりではなく、明細の発行までが大切になります。
明細書内の控除の項目について、ご参考いただければ幸いです。
このブログでは、他にもお仕事にまつわるコラムを書かせていただいています。
よろしければ、コチラよりお読みください!➡しごとのコラム
最後までお読みいただき、ありがとうございました。