割増賃金がない?法定内残業と、法定外残業の違いについて。

しごとのコラム

とある会社でアルバイトをしているカズオくん。今月のお給料のことで気になることがあり、人事のアユムさんに相談です。

カズオ
カズオ

先月末は忙しかったので、初めて残業をしました。

アユム(人事)
アユム(人事)

あの日は忙しかったからね。お疲れさまでした。

カズオ
カズオ

残業をするとお給料が1.25倍に割増しされると聞いたのですが、僕のお給料は割増しがないんです。なんでですか?

アユム
アユム

うちの会社は、8時間を超えた残業(法定時間外残業)が割増し対象になっています。カズオくんは残業しても8時間以内だったので、割増しがなかったってことね。

カズオ
カズオ

そういうことですか。わかりました。

ブログへお越しいただきありがとうございます。

社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。

どうしてもお仕事が終わらず、残業をする経験は多くの人があるはずです。

残業をすると、お給料に割増賃金がつくというケースがあります。

ところが、時間によっては割増賃金がつかないこともあります。

どんな違いがあるのでしょう。

今回は、残業代と割増賃金についてご紹介します。

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割増賃金がない?法定内残業と法定外残業の違いについて。

残業が全くないという会社は理想ではありますが、現実としてはあまりないように思えます。

多かれ少なかれ、仕事をしている人のほとんどは、残業を経験しているはずです。

残業をした分、お給料が支払われるのは当然なのですが、割増賃金がプラスされるという話を聞いたことがある方も多いはずです。

労働基準法では、いくつかの割増賃金の支払い義務が規定されています。

厚生労働省のリーフレットを引用します。

引用 : 厚生労働省 しっかりマスター労働基準法 割増賃金編

労働基準法では、時間外、休日、深夜の労働に対して割増賃金の支払い義務が定められています。

時間外の割増率は、25%以上となっています。(企業規模により1ヵ月50時間を超えると50%以上とななります。)

確かに、時間外労働をすると割増賃金が支払われるとわかります。

ただし、ここでいう「時間外」とは、必ずしも残業時間と一致しないので、注意が必要です。

法定内と、法定外がキーワードです。

次からは、具体例を交えて確認します。

※今回の記事では、固定残業代や変形労働時間制を採用していないという想定とさせていただきます。

割増賃金は、法定労働時間が基準

結論から申し上げますと、割増賃金の対象になるのは1日8時間を超えた労働時間となります。

また、1週間で40時間を超えた労働時間も割増の対象となります。

労働基準法では、1日及び1週間の労働時間が決められています。

労働基準法
労働基準法

原則として、使用者は1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させることはできません。

この1日8時間、1週間に40時間という時間を法定労働時間と呼びます。

割増賃金の対象になるのは、法定労働時間を超えた時間、ということになります。

労働時間が法律で決められているなら、法定外の残業ってそもそもが法律違反なんじゃないの?

確かに1日8時間を超えた労働は、それだけでは労働基準法違反となってしまいます。

(1週間の40時間超えも同様です。)

ただし、36協定を締結・届出をして、割増賃金を支払えば罰則は適用されないことになっています。

36協定とは、時間外・休日労働に関する会社と労働者の協定書です。

以前、解説させていただいたことがありますので、よろしければご参考ください。

法定外残業のことは、わかりました。そうなると法定内残業ってどんなものですか?

法定内残業は、法定労働時間(1日8時間、1週間に40時間)内での残業のことです。

例えば、こんな労働者さんの場合。

就業時間は、9:00-17:00で、12:00-13:00が休憩時間です。

この人は、定時の17:00時点では実働は7時間です。

そのため、18:00まで残業をしても割増賃金の支払い義務は発生しません。

通常の賃金の支払いとなります。

ただし、会社によっては法定内残業にも割増しを規定しているケースもあります。

気になるときは、会社の就業規則等の確認がおススメです。

なお、法定内残業だけしか確実に発生しないというときは、先ほどの36協定は不要です。

仮にこの人が19:00まで残業した時は、法定内残業と法定外残業が1時間ずつということになりますね。

先ほどの厚生労働省のリーフレットに見やすい図表がありますので、引用します。

引用 : 厚生労働省 しっかりマスター労働基準法 割増賃金編

図表の通り深夜の割増し時間帯(22:00-5:00)と重複したら、時間外と深夜それぞれの割増しを支払う必要があります。

時間外の割増賃金は個人の就業時間(所定労働時間)よりも、法定労働時間が基準ということになります。

また、例えば…

就業時間は、9:00-18:00で、12:00-13:00が休憩時間です。
週5日勤務です。

こういった8時間×5日という就業時間の人は、多いと思います。

法定労働時間と一致していますね。

僕も経験があります。

このようなケースだと、残業時間は全て法定外残業となり、割増の対象となります。

(遅刻、早退をした場合などは除きます。)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

  • 残業時間には、法定内と法定外の残業があります。
  • 1日8時間、1週間に40時間の法定労働時間を超えた残業は、法定外残業=労基法上の割増賃金の義務有)
  • 個人としては残業していても、法定労働時間内なら労基法上は割増しの賃金義務はありません。(規則等で法定内も割増を規定している場合もあります。)

残業は、お仕事をするうえで身近な存在です。

法定内、法定外の違いは僕自身も混乱していたことがあります。

労働者さんのお金にかかわる所なので、賃金の計算の時などご参考いただければ幸いです。

今回の記事は、厚生労働省のリーフレットを参考にさせていただきました。

併せてご参考ください。

このブログでは、他にもお仕事に関するコラムを書かせていただいています。

ぜひ、併せてお読みください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

☆この記事を書いた人☆
社労士 鈴木翔太郎

東京の秋葉原の社会保険保険労務士です。
社会保険・労働保険などの手続きを中心に労務関係のお仕事をしています。ハローワークや年金事務所・労働基準監督署へ提出する書類でお困りの際はぜひお声かけください。
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