インフルエンザでも使えます!傷病手当金の手続き方法

社会保険・労働保険等手続き

― ― ― 体調が悪いとのことで、病院に行っているタロウくんから総務のココアさんに電話がかかってきました。

タロウ
タロウ

病院へ行ったら、インフルエンザでした。一週間休むように先生から言われましたので有休使わせてもらいます。

ココア
ココア

お大事にね。でも、あなたこの前旅行に行って有休全部使っちゃったじゃない。

タロウ
タロウ

そうでした。じゃあ僕は一週間給料ゼロですか!?

ココア
ココア

大丈夫よ。全額ではないけど健康保険の傷病手当金を使えば、休業4日目からは給付金が出るのよ。安心して休んでね。

タロウ
タロウ

そうなんですか。ありがとうございます。

健康保険というと、病院の治療費に使うイメージが強いかと思います。

もちろん治療費にも使われていますが、収入保障の制度として、傷病手当金というものがあります。

どんなときにつかえるのでしょう。今回は健康保険の給付傷病手当金について書かせていただきます。

[PR]契約手続きがオンラインで完結! 電子契約の電子署名・サインは「GMO電子印鑑Agree」 資料請求はコチラ 
スポンサーリンク

インフルエンザでも使えます!傷病手当金の手続き方法

毎年、冬に流行するインフルエンザ、すぐに病院へ行って熱が下がっても1週間は休むというのが一般的なのではないでしょうか。

その休んでいる間には年次有給休暇(有休)を使う人がほとんどかと思いますが、

有給は使い切っちゃったよ!

入社したばっかりで有給はないよ!

という方もいらっしゃいますよね。

そんな方は健康保険の傷病手当金を申請することができます。

私見なのですが、傷病手当金は比較的長く休んだ時の収入保障のようなイメージがあります。

でも要件を満たせば、インフルエンザで一週間休んだ時でも対象になる日が出てきます 。

しくみや手続きの方法を見ていきましょう。

なお、健康保険に加入している必要があるので、アルバイトで健康保険未加入の場合は申請ができません。

傷病手当金申請書 と手続きの方法・支給までの流れ

申請書の様式はこちら(協会けんぽ用です。組合健保は独自のものを使っている場合がありますので、ご確認ください。)

健康保険傷病手当金支給申請書 | 申請書 | 全国健康保険協会

大まかな流れは以下の通りです。

  1. 傷病手当金申請書を記入。(申請者の氏名等以外にも病院の証明欄もありますので、病院へ証明を依頼します。)
  2. 会社を通して、健康保険保険者(協会けんぽや健保組合)へ提出します。
  3. 後日、支給決定通知書が申請者の自宅へ届き、申請書へ記載の口座へ入金されます。

こういった形で実際に休んだ日に対して、事後に申請することになります

先払いはできませんので、ご注意ください。

傷病手当金の支給要件は?

さて、傷病手当金の支給要件についてですが、すこしややこしいです。

  • 被保険者が業務外の病気やけがのために働くことができないこと。
  • 連続して4日以上労務不能で休んでいること。
  • 休んだ期間について給与を受けていないこと。

一つずつ見ていきましょう。

被保険者が業務外の病気やけがのために働くことができないこと。

まず、被保険者(健康保険加入者)であることが必要なので、被扶養者の方は対象外です。

そして、業務上や通勤の時は労災保険を使いますので、健康保険の傷病手当金は業務外のことに限られます。

なお、入院は要件ではありませんので自宅療養でも労務不能の診断がされていればあれば要件はクリアです。

連続して4日以上労務不能で休んでいること。

これが、なかなかややこしいところかと思います。

傷病手当金は4日目以降の労務不能な日が支給対象になるので、まず「連続」3日間休んでいる必要があります。(待機期間といいます。)

下の図をご覧ください。

協会けんぽホームページより引用

図の一番上のケースだと、1日や2日休んだ後に出勤しているので、3日間待機がいつまでも完成しませんね。

ちなみに、一度待機が完成すれば復帰した後に同一の病気、けがで休んでも待機は必要ありません。(インフルエンザではありえないケースですが、他の病気、けがの時はあり得る話ですね。)

そして、この待機に使われる場合の(休)というのは、土日などの公休日や年次有給休暇も含まれます。 これを考慮して、インフルエンザを例にしたケースを見てみたいと思います。

12/6(金)に調子が悪かったため病院に行ったところ
インフルエンザの診断を受け12/12(木)まで休み、12/13(金)より復帰した場合
  1. 12/6 (金)欠勤or有休   待機1日目(支給対象外)
  2. 12/7 (土)公休日     待機2日目(支給対象外)
  3. 12/8 (日)公休日     待機3日目(支給対象外)
  4. 12/9 (月)欠勤      支給対象日
  5. 12/10(火)欠勤      支給対象日
  6. 12/11(水)欠勤      支給対象日
  7. 12/12(木)欠勤      支給対象日
  8. 12/13(金) 復帰(出勤) 支給対象外

12/6(金)から12/12(木)まで労務不能と診断がされたとします。

この場合、12/6(金)は有休を使っても欠勤でも12/6(金)-12/8(日)で待機は完成するので、12/9(月)-12/12(木)まで傷病手当金の支給対象となります。

また、初日の12/6(金)は午前中出勤で早退をしたときも待機の一日目に含まれます。

なお、待機期間中は有休でも良いのですが、支給の対象日(この場合は12/9-12/12)は給料が支払われていた場合は傷病手当金がもらえません。それが次の要件です。

休んだ期間について給与を受けていないこと。

待機期間は報酬の有無は関係ないのですが、支給の対象日に報酬を受けていた場合は傷病手当金は支給されません。

なお、給与の支払いがあっても傷病手当金の支給額より少ない場合は、その差額分が支給されることになっています。

傷病手当金の金額はいくら?

さて、金額ですが 1日あたりの支給額を次の計算式で算出して対象の日数分支給されます。

  • 【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)

なんだかよくわかりませんね。 順番に見ていきましょう。

まず、支給開始日は先程のケースですと、12/9のことです。

標準報酬月額は社会保険料の計算のもとになるもので、お給料などをもとに定時決定随時改定で決まります。

その標準報酬月額を30で割ります、月額を日額にするイメージです。

その日額に当たる金額の2/3が支給されるということです。

とても大雑把に言ってしまうと、給料の平均額の2/3を一日当たり支給するような感じです

先程のケースで見てみましょう。

2018年9月に定時決定で標準報酬月額が28万になり、その後随時改定はされず、2019年9月に定時決定で標準報酬月額が30万になりました。

平均をとる12ヶ月のうち2019.9月-12月までの4か月は30万、それ以前8か月は28万ということになりますね。

式にあてはめると、

〔(30万×4ヶ月+28万×8ヶ月)÷12カ月〕÷30日×2/3=6,373円となります。

※計算途中の端数処理は30日で割るときに1の位を四捨五入、2/3したあとに小数点第一位を四捨五入します。細かいところですが、参考までに。

6,373円が4日分出ますので、25,492円ということになります。

なお、支給開始日の以前の期間が12ヵ月に満たない場合は次のいずれか低い額を使用して計算します。

  1. 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額 (資格取得までの期間を使うということです)
  2. 全被保険者の標準報酬月額の平均額 (支給開始日が平成31年3月31日までの方は28万、 支給開始日が平成31年4月1日以降の方は30万を使います。) 

傷病手当金はいつまでもらえる?

 支給期間は協会けんぽの場合、最長で1年6カ月となっております。組合健保の場合はもっと長いこともあります。

お気を付けいただきたいのは、傷病手当金は1年6ヵ月分支給されるということではなく、

1年6ヵ月の間に職場復帰をした期間があり、その後再び同じ病気やケガにより休むことになったときでも、復帰期間も1年6ヵ月に算入される点です。

協会けんぽホームページより引用

退職後も継続して受給できるケースがあります。

上記のように、傷病手当金は最長で1年6カ月受給することができます。

しかし、例えば

社長
社長

うちの会社の病気休暇は3か月までしか認められないんだ。

となり、そのまま退職するということがあるかと思います。

そんな時は、要件を満たしていると退職後も継続して傷病手当金を受給できます。(支給期間は同じです。)

要件は以下の通りです。

  • 待機期間が完成して、傷病手当金が受けられる状態であること
  • 退職日まで健康保険に1年以上継続して加入していること

療養が長期に及びそうな場合は、退職後の貴重な収入保障となります。要件をご確認いただければと思います。

傷病手当金は休職中の貴重な収入です。ご活用ください。

いかがでしたでしょうか。

簡単にではありますが、傷病手当金の手続きと仕組みについて書かせていただきました。

インフルエンザなどで休みが一週間ほどの時は有休を使うことが多いのかなと思いますが、

選択肢の一つとして、傷病手当金もご検討ください。

なお、休みが長期に及ぶ場合は1カ月ごとに証明を受けて申請

というケースが一般的です。

最近では、うつ病などのメンタルの病気で活用されている方も多くなっております。

休職中の貴重な収入保障となりますので、ぜひ活用しましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

    

タイトルとURLをコピーしました