ボーナスの手取りはいくら?賞与の社会保険料や支払届の話

社会保険・労働保険等手続き

今日は、ボーナス(賞与)の支給日だったんだよ!

おめでとう!

あれ?社長が言っていた金額より、振り込まれた金額が少ないよ!

ボーナスからは、社会保険料や所得税が控除されるから、手取り額は少なくなるんだよ。

そうなんだね。明細書をちゃんと確認してみるよ。

ブログへお越しいただきありがとうございます。

社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。

夏と冬はボーナス(以下、賞与とさせていただきます)という会社さんは多いのではないでしょうか。

そんなもらってうれしい楽しい賞与について、今回は書かせていただきます。

賞与支払届を訂正したいとき!訂正届の解説記事は➡コチラ

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ボーナスの手取りはいくら?賞与の社会保険料や支払届の手続き方法

そんな楽しい賞与です。

僕も、サラリーマン時代はワクワクしたものです。

しかし、裏方ではいろいろと苦労されているかと思います。

実務において、大きな柱は…

社会保険料などの控除額の計算社会保険関係の届出(賞与支払届)です。

まずは、社会保険料などの控除額についてみていきます。

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賞与から控除される社会保険料などの計算

明細書を見て「こんな控除されてるのか…」「手取り少ないなあ。」などと思う方は多いのではないでしょうか。控除される社会保険料はどんなものでしょう。

社会保険料は「標準賞与額」を使って保険料を算定

賞与の厚生年金保険料と健康保険料(介護保険料)は例月給与の標準報酬月額とは無関係に

標準賞与額という数字に基づいて決まります。

標準賞与額は基本的には支払った賞与の額の1,000円未満を切り捨てた金額です。

例えば… 

賞与の支給総額が366,500円だとすると、標準賞与額は366,000円になります。

厚生年金保険料は18.3%なので

366,000円×18.3%=66,978円

折半額は33,489円ですので、

厚生年金保険料は33,489円となります。

健康保険料と介護保険料も同様に標準賞与額をもとに計算をすることになります。

金額が多い人は上限額に注意!

大半の人は先のように標準賞与額に保険料率を掛ければ済むのですが、金額が大きくなる方は上限額が設定されています。

厚生年金と健康保険(介護保険)で異なる決まりがあるのでそれぞれ見ていきましょう。

健康保険料(介護保険)の上限について

健康保険料(介護保険)の標準賞与額は、4月1日から翌年3月31日の1年間で累計し、573万円が上限額とされます。

例えば… 

6月と12月に300万円ずつの賞与を支払った場合うらやましいですね

6月は通常通りに「300万円×保険料率」で算出します。

この時点で上限額573万のうち300万を支給されているので

その年度の残りは273万ですね。

そして、12月賞与でも300万を支給しますと…

「300万円 (実際の支給額) ×保険料率」ではなく

「273万円×保険料率」により保険料を算出することになります。

なお、転職により同年度で複数の会社から賞与をもらっている場合、

転職前後の保険者が同じであれば、転職前に受けていた賞与額も含めて累計額を算出することができます。

保険料負担が減ることになりますので、確認されたほうが良いかと思います。

※この場合は「健康保険標準賞与額累計申出書」という様式を提出します。

厚生年金保険料の上限について

上限額は健康保険のように1年の累計ではなく1回ごとに上限を150万として保険料を決めます。

(ただし、同月に2回以上の賞与支給があったときは合算します)

先程の6月と12月で300万ずつ支給されたうらやましい人の場合ですと、

6月12月それぞれが「150万×保険料率」で計算することになります。

退職者(予定)者には要注意

社会保険料はその月の月末に被保険者として在籍していると徴収の対象になります。

そのため、賞与支給月に退職(資格喪失)した人の賞与は社会保険料の対象となりません。

月の途中から産休・育休で保険料免除が始まった人も同様です。

例えば…

 ケース1…12月10日賞与支給で12月20日退職の場合

賞与からは社会保険料(厚生年金・健康保険(介護保険))を控除する必要がありません。

もしも保険料を控除した賞与を支給した後(12月15日など)に退職の申し出があった場合は、該当者に保険料を返還しましょう。

月末の12月31日で退職する場合には、通常通り保険料を徴収しますのでお気をつけください。

 ケース2…12月20日賞与支給で12月10日退職の場合

この場合も社会保険料(厚生年金・健康保険(介護保険))の控除はありません。

なぜ、結論が同じなのにケースを分けたかといいますと、次の項で記載の役所への届出の扱いが違うためです。

産休・育休中(予定)の方も同様にご注意

産休・育休で保険料免除になる(なっている)方も退職者と同様の扱いになります。

例えば、12月10日賞与支給12月25日から産休に入る予定の従業員さんは賞与の社会保険料(厚生年金・健康保険(介護保険))の控除はありません。

雇用保険料は?

雇用保険料については1,000円未満切り捨てや上限額の決まりはありませんので、366,500円の支給でしたら、366,500円に料率をかければオッケーです。

雇用保険料は退職日云々の件も関係ありませんので上のケース1、ケース2共に雇用保険料を控除することになります。

産休・育休中の方も同様に控除します。

他に控除するものは?

他のものとしては源泉所得税を控除することになるかと思いますが、

専門外となりますので、申し訳ございませんが、記載は割愛させていただきます。

国税庁のURLだけ参考までにリンクさせていただきます。

(賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表をご参考ください。)

  ➡ 令和3年分 源泉徴収税額表

届出は賞与支払届と総括表

さて、無事に保険料などの計算が終わったら最後の仕事です。

役所への届出をしましょう。

提出するものは「賞与支払届」「賞与支払届総括表」です。

賞与を支給してから5日以内に年金機構(健保組合加入の場合は併せて健保組合)へ提出します。(短い…)

年金額の計算の基礎になりますので忘れないようにしましょう。

なお、まだ入社したばかりで寸志というケースでも届出が必要になります。(保険料控除も同様です。)

様式はこちら。 エクセル版もあって便利ですね。

賞与月が近づくと日本年金機構から様式が送られてくる会社さんも多いかなと思います。その場合はそちらを使って大丈夫です。

退職者(予定者)の賞与支払届

退職者の扱いですが、先程のケースを例にしますと

・ケース1(12月10日賞与支給で12月20日退職)の場合

届出が必要になります。保険料はかかりませんが年間累計の対象になるためです。

・ケース2(12月20日賞与支給で12月10日退職)の場合

届出の必要がありません 支給日に在籍していないので年間累計とも関係ないためです。

ちなみに、雇用保険料は年度更新の時に一緒に申告します。

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賞与って、そもそもどんなもの?

最後に、賞与ってどんなもの?ということをみてみましょう。

「賞与」とは労働基準法に定義はされておらず、行政通達で

定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるもの

行政通達 

との定義づけがされています。

小むつかしいことを言っていますが、一般に考えられているような「給与とは別に業績や成績に応じて夏や冬に特別に支給されるもの」といった理解で良いのかなと思います。

ところが、社会保険上では定義が別にされています。

賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるものをいう

健康保険法

とされています。大事なのは3月を超える期間ごとに受けるものというところです。

1年は12か月なので、要するに年3回までが社会保険上の賞与です。

4回以上賞与を払っていたら、その月の給与と同じ扱いになります。

算定基礎届の金額に混ぜることになります。

法律上、賞与は支給しなければいけないものではありませんが、雇用契約の時に支払うと約束していた場合は会社に支払い義務が生じます。ご注意ください。

まとめ

簡単にではありますが、保険料控除や賞与支払届を中心に賞与の実務について書かせていただきました。

意外と裏方では苦労されているかと思います。面倒な点も多いですが、みんなの楽しいボーナスになると良いですね。

賞与の届出や、賞与の社会保険料についてのお困りごとは、

社会保険労務士へご相談ください!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ボーナスの手取り額について動画でも解説させていただきました。

ぜひ、ご覧ください。

  

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