いわゆる男性版産休を含む、男性育休促進法案が成立しました。
内容や、施行の時期などを確認します。
ブログへお越しいただきありがとうございます。
社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。
多様な働き方と言われる昨今ですが、まだまだ男性の育児休業の取得は伸び悩んでいます。
そんな流れを少しでも、解決すべく「男性育休促進法案」が成立しました。
今回は、こちらの制度のご紹介をいたします。
【改正】「男性育休促進法案」成立!内容を確認!施行はいつから?【男性版産休】
さて、こちらの「男性育休促進法案」については、昨年末に速報的に記事を書かせていただきました。
日本の男性育休取得率についての推移もご紹介しておりますので、ご参考ください⇊
前回の記事と内容が重複するところもありますが、
改めて出来上がった法案を元に、内容をご紹介させていただきます。
ニュースもいろいろと流れていましたね。
まずは、法案の概要を引用します。
引用元:厚生労働省 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案の概要
今後、もっと見やすい案内が出ることが予想されますが、現在はコチラが一番よくまとまっています。
今回は、この概要の表を元に改正の内容を確認します。
「男性育休促進法案」の概要を確認!
「男性育休促進法案」とありますが、
実際に変更になる法律は、「育児・介護休業法」と「雇用保険法」です。
改正の概要は、大きく6つに分かれています。
男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設
これは、いわゆる男性版産休のことです。
今でも男性が育児休業を取得できるけど、どこが違うの?
現在の育児休業制度でも、原則として、子供が1歳になるまで育児休業を取ることができます。
今回の改正により、この育児休業と別に育児のための休業が取得できるようになります。
男性版産休という言葉をメディアでよく見かけますが、
今までよりも育児休業が取りやすくなる制度改正というイメージの方がしっくりきます。
ポイントは以下の通りです。
- 子供の出生後8週間以内で、最大4週間まで休業を取得できる(※2回まで分割で取得が可能)
- 休業の申し出は原則として2週間前までに行う。(今の制度は1ヵ月前なので短縮されます。)
- 休業中、就業をすることも可能。ただし、労使協定を結び事前に調整をしている必要があります。
分割取得が可能であったり、休業の申出期間が2週間前でオッケーであったりと、取得がしやすいような制度となっております。
本来は、まとまった休業が理想なのかの知れませんが、そうもいかないのが現実です。
小さいところから社会が変わっていくとよいですね。
育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け
2つめは、こちらです。
長くてよく分かりません。
ポイントは以下の通りです。
育休を取得しやすいような環境を作りましょう。
妊娠・出産を申出た労働者さんがいたら、個別に産休・育休制度を周知して、休業の意向を確認しましょう。(義務)
妊娠・出産を申出た労働者は、本人だけでなく配偶者も対象となります。
そのため、奥さんが妊娠した男性社員さんに対してもこの措置が必要ということになります。
育児休業の分割取得
ここで言う育児休業は、先ほどご紹介の男性版産休ではなく、
「原則、子供が1歳になるまでの従来からある育児休業」を指しています。
この休業も2回までの分割が可能となります。
育児休業の取得の状況の公表の義務付け
これは、常時雇用している労働者数が1,000人超の会社限定の話となります。
育児休業の取得の状況について公表を義務付けるということになります。
促進につながるかどうかは不明ですが効果に期待してみたいところです。
有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和
契約社員などの有期雇用者でも、現行の育児休業制度を利用できます。
ただし、育児休業を取得するには、1年以上雇用されていることが条件でした。
今回の改正で、この要件が撤廃されることになります。
なお、労使協定を締結することにより雇用期間が1年未満の労働者を除外することは可能です。
この除外のルールは、無期雇用者も同様です。
育児休業給付に関する所要の規定の整備
雇用保険の制度で、育児休業給付というものがあります。
今回、新たな休業制度が創設されるにつき、この給付の制度も見直しがされることになります。
法律案要綱の該当箇所によると、現行の育児休業給付金が改正され、
出生時育児休業給付金という新給付が創設されることが決まっています。
こちらも要注目です。
法律案要綱は、コチラ
➡ 厚生労働省 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案 法律案要綱
「男性育休促進法案」(男性版産休)は、いつから?
ここまで、いわゆる男性版産休を含め「男性育休促進法案」の内容を確認させていただきました。
これらの施行日は、それぞれで異なっています。
それぞれで確認します。(名称が長いので、略させていただきます。)
上記2⃣(育休の意向確認義務)と5⃣(有期雇用労働者の取得要件緩和)は、令和4年(2022年)4月1日からです。
上記の4⃣(育休取得率の義務付け)は、令和5年(2023年)4月1日からです。
上記1⃣(いわゆる男性版産休)、3⃣育児休業の分割取得、6⃣(雇用保険の給付金)は、公布日から1年6月以内で政令で定めた日です。ただし6⃣の一部は公布日から3ヶ月以内です。
1⃣、3⃣、6⃣が曖昧な表現になっていますが、令和4年(2022年)の秋ごろとされています。
詳細は、わかり次第お知らせいたします。
就業規則や育児休業規定等の変更をお忘れなく
さて、来年度以降、育児休業に関するルールが変わることをご紹介しました。
育児休業に関することは、就業規則に記載をする必要があります。
変更をお忘れないようにご注意ください。
育児休業規定などで、別に定めているときはそちらの変更となります。
届出や、周知も同様に必要になります。
まとめ ~育休の目標は30%!~
いかがでしたでしょうか。
- 男性育休促進法案が成立!6つのポイントを確認
- 施行時期は、令和4年(2022年)から順次スタート!内容により分かれています。
- 就業規則や育児休業の規定の変更をお忘れなく!
政府は2025年までの取得率30%を目標としているそうです。
現在は、10%にも達していません。
この改正だけで、全てがうまくいくとは、考えにくいというのが正直なところです。
でも、少しずつでも世の中が変わるきっかけになればよいなと思います。
今後にも要注目です。
このブログでは、他にも社会保険に関するコラムを書かせていただいています。
ねんきん定期便って何?記事は➡コチラ
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。