職場の安全を守るため、安全管理者の選任が法律で義務付けられています。
選任には、要件があります。どんな要件なのでしょうか。
ブログへお越しいただきありがとうございます。
社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。
労働者が安全に働く環境を作るため、一定の事業所(会社)は安全管理者の選任義務があります。
選任をしたあとは、労働基準監督署へ届出の必要があります。
今回は、安全管理者の選任について、ご紹介します。
安全管理者について、動画でも解説させていただきました。
併せてごらんください!
【記載例付き】安全管理者選任の届出の仕方【業種分類を確認】
安全管理者とは、文字通り職場の安全を管理する責任者です。
まずは、安全管理者がどんな時に必要になるかを確認します。
安全管理者は、一定の業種で常時50人以上の労働者がいる事業所で選任が義務付けられています。
全ての事業所で選任が必要という訳では、ありません。
逆に、対象の業種に該当しても、50人未満なら、安全管理者の選任義務はありません。
どんな業種が対象なのですか?
業種については、労働安全衛生法という法律で決められています。
安全管理者の選任が必要な業種は…
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。 ) 、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業
となっています。
結構、幅広い業種が対象になっている印象を受けます。
これらは、国が労働者に危険がある可能性が比較的高いと判断した業種ということが考えられます。
さらに、これらの中で業種の分類がされていて、安全管理者の少なくとも一人は専任であることが決められています。
分類は以下の通りです。
見てみると、確かに、危険度が高いようなイメージがあります。
専任の安全管理者…専任って、どういう意味ですか?
専任とは、その事業所において、安全管理者の仕事を専ら担当しているということです。
他の業務と兼任、例えば総務部長が安全管理者を兼ねているケースなどではダメということですね。
安全管理者は事業場に専属の人
その他のルールとして、安全管理者は事業場に専属の人という決まりがあります。
専属…?どういうことですか?
専属とは、その事業所に、専ら所属している人ということです。
他の事業所と兼業しているような人は、ダメということですね。
先ほどの、専任との違いにご注意ください。
※ただし、2人以上の安全管理者を選任する場合で、安全管理者のなかに労働安全コンサルタントが選任されているというときは、労働安全コンサルタントのうちの1人については専属でなくてもよいとされています。
安全管理者の選任は、14日以内!
安全管理者の対象に該当した場合、14日以内に選任をすることが決められています。
コチラも労働安全衛生法で決められている内容です。
お気を付けください。
記載例で確認!安全管理者選任報告の書き方
ここまで、安全管理者の選任の必要の有無についてご紹介しました。
専任をしたら、届出をする必要があります。
届出をする様式は、安全管理者選任報告です。
安全管理者選任報告(様式第3号)は、インターネットでダウンロード可能
安全管理者選任報告は、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
※ 総括安全衛生管理者・衛生管理者・産業医選任報告と共通の様式となります。
【記載例】選任者の氏名や経歴を記入します。
安全管理者選任報告(様式第3号)に、選任をする人の情報や会社の情報を記入していきます。
記載例をご用意しました。
なお、記載例は、入力支援サービスを使って作成しました。
入力フォームへ必要事項を入れていくと、様式が作成される便利なツールです。
安全管理者選任報告(様式第3号)の添付書類と、提出期限を確認。
添付書類は、研修の修了証か、他の資格を証する書面となっています。
コピーで大丈夫なので、忘れずに添付しましょう。
提出期限は、遅滞なく提出という決まりになっています。
〇日以内という決まりはありませんが、遅くなりすぎないように提出する必要があります。
安全管理者に対象に該当したら、14日以内に選任➡遅滞なく提出という流れです。
提出先は、労働基準監督署の安全衛生課です。
労働基準監督署の一覧をご案内いたします。
仕事場の巡視など!安全管理者の仕事って?
ここまで、安全管理者の選任➡届出についてご紹介しました。
安全管理者さんは、どんなお仕事をするのでしょうか。
安全管理者の仕事は、作業場等を巡視し、設備、作業方法等に危険のおそれがあるときは、直ちにその危険を防止するため必要な措置を講じることです。
安全管理者の選任が義務付けられるということは、危険性が比較的高い仕事場ということになります。
そういった仕事場を巡視して、危険を発見し、防止するための措置をとるということですね。
危険を防止する措置って、具体的にどんなこと?
厚労省のサイトで、列挙されていますので引用します。
• 安全管理者が行うべき安全に関する措置とは、具体的には次のような事項をいいます。
1.建設物、設備、作業場所または作業方法に危険がある場合における応急措置または適当な防止の措置
厚生労働省 安全管理者について教えて下さい。 より引用。
2.安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期的点検および整備
3.作業の安全についての教育および訓練
4.発生した災害原因の調査および対策の検討
5.消防および避難の訓練
6.作業主任者その他安全に関する補助者の監督
7.安全に関する資料の作成、収集および重要事項の記録
8.その事業の労働者が行う作業が他の事業の労働者が行う作業と同一の場所において行われる場合における安全に関し、必要な措置
かなり幅広い内容になっていることが分かります。
安全を任される責務は、重いですね。
安全管理者と衛生管理者の違いって?
安全管理者と同じように労働安全衛生法で、衛生管理者の選任が義務付けられています。
似ている名前ですが、どういった違いがあるのでしょうか。
選任する要件が違う。
弊記事でご紹介のように、安全管理者は、業種と人数に応じて選任の義務があります。
一方で、衛生管理者は業種を問わず、50人以上の労働者がいるときは選任する必要があります。
設置基準についても、様々となっています。
以前、衛生管理者についても記事を書かせていただいています。
ご参考ください。
職務内容が違う。
安全と衛生は、似ているような言葉ですが、微妙に内容が違っています。
安全管理は、どちらかというと危険から守るというイメージ、
衛生管理は、健康面への配慮もあるようなイメージを僕は持っています。
もちろん、職場環境を守るという点は共通ですが、立場はやや異なります。
なお、巡視業務はどちらの管理者も義務付けられています。
安全管理者と衛生管理者って、兼任できる?
似ているところもあり、違うところもある安全管理者と衛生管理者…
同じ人が、兼務することはできるのでしょうか。
実は、法律上は兼務は制限されていないので、可能です。
両方の要件を満たした人であれば、安全管理者と衛生管理者を兼務することはできます。
ただし、種類の異なる業務となりますので、できるかぎり別の人を置いたほうが良いという話を聞いたことがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
- 一定の業種で常時50人以上の労働者がいる事業所(会社)で、安全管理者の選任が義務付けられています。
- 選任が終わったら、安全管理者選任報告(様式第3号)を労働基準監督署へ提出します。
- 安全管理者は、作業場等を巡視しを行い、設備、作業方法等に危険のおそれがあるときは、直ちにその危険を防止するため必要な措置を講じることが決められている。
労働安全衛生法はとても大切な法律です。
安全管理者は、そんな法律で決められた職場の安全を守る大切な役目を果たす人です。
選任、届出の際はご参考いただけますと幸いです。
このブログでは、ほかにも手続きの解説記事を書かせていただいています。
労働者死傷病報告の書き方についての解説は、コチラ⇊
その他の記事も是非、お読みください!➡コチラ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回の内容を動画でもご紹介しています。
併せてごらんください!