ケンタ君は、とある会社の社長さんです。賞与の計算をしているようです。
賞与の金額が全員分決まったよ。
お疲れさまでした。賞与支払届の提出も忘れないようにしましょうね。
そういえば、育児休業中のミルクさんに賞与を支給する予定なんだけど、保険料免除中だから、届出はいらないのかな?
保険料免除中でも、届出は必要です。年金の額に影響が出るから、要注意ですよ!
そうなんだね。忘れずに届出するよ。
ブログへお越しいただきありがとうございます。
社会保険労務士の鈴木翔太郎と申します。
対象者へ賞与を支給した時は、賞与支払届を提出します。
その中には、育児休業中(産前産後休業中)で社会保険料が免除されている人もいるかもしれません。
そんな人は、賞与支払届の提出が必要でしょうか。
今回は、育児休業と賞与支払届についてご紹介します。
※ 育児休業中の賞与の社会保険料免除の要件が変更されました。この記事は、産休・育休で保険料が免除されているケースを想定した内容となっています。
➡ 日本年金機構 育児休業等期間中の社会保険料免除要件が見直されます
【保険料免除でも要提出】育児休業中の社員の賞与支払届は、必要?
産前産後休業中や育児休業中、要件を満たした社員さんは届出をすることにより社会保険料が免除されます。
(ここでの社会保険は、厚生年金、健康保険、介護保険を指します。)
この届出により、休業中は社会保険料は免除され、徴収されません。
同様に、休業中の免除対象月に賞与(ボーナス)が支給されても、社会保険料は免除されます。
そうなると、年金機構(健康保険組合)へ届出る賞与支払届は、必要なのでしょうか…?
育児休業中で社会保険料が免除されていても、賞与支払届は必要です。
ということで、育児休業(保険料免除)中であっても、他の社員さんと同じように賞与支払届を作成をして提出することになります。
でも、提出しても社会保険料は発生しないんだよね?提出の意味はあるのかな?
確かに提出の意味が一見ないように思えます。
次の項で、なぜ免除中も賞与支払届の提出が必要かをご紹介します。
保険料が免除中でも、賞与が年金額に反映!
先ほど紹介のように、産前産後休業中と育児休業中は届出により社会保険料が免除されます。
しかし、保険料については納付されたとみなされる仕組みとなっています。
実際には、納付していないのに…みなす…?どういうこと?
例えば、こんなイメージです。
標準報酬月額30万です。育児休業中で社会保険料は免除されています。
こんな感じで保険料は免除されていますが…
免除期間は、標準報酬月額30万の保険料を納付したとして、年金額や傷病手当金の計算を行います。
このように、保険料は免除されていても納付されたものとして、年金額や傷病手当金に反映するということです。
賞与の金額も同じです。
例えば400,000円の賞与が支給がされたとすると、標準賞与額40万が年金の金額へ反映されます。
子育て・育児休業を支援する良い仕組みです。
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健康保険料の賞与の累計額の集計にも使われます。
もう一点、提出が必要な理由として、健康保険料の賞与の累計額への影響があります。
賞与の健康保険料の対象は、年間で573万円が上限となっております。
この累計額を正確に把握するためにも、賞与支払届の提出が必要になります。
まとめ ~賞与支払届の時効は、2年です。~
いかがでしたでしょうか。
- 産休中・育児休業中で社会保険料が免除されていても、支給があったら、賞与支払届の提出は必要
- 保険料が掛からなくても、年金額に賞与の保険料相当額が反映されます。
- 健康保険料の年間上限額(573万円)を把握するためにも、産休・育休者の賞与支払届の提出は必要。
賞与の支給があったときは、お忘れないようにご対応いただければと思います。
なお、賞与支払届は提出期限は5日以内ですが、時効の2年以内でしたら、提出は可能です。
ご参考いただければ幸いです。
このブログでは、他にも社会保険の手続に関する記事を書かせていただいています。
賞与支払届を書き間違えたときの訂正方法は、コチラ⇊
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。