【わかりやすく】残業代は含まれる?標準報酬月額とは!

しごとのコラム

—若手社員のヤスオくん。社会保険料のことで気になることがあるようです。総務のココアさんのところへ相談に来ました。

ヤスオ

ココアさん、僕の社会保険料って、おかしくないですかね。

ココア

毎回確認しているけど、どうしたの?

ヤスオ

同期のケントくんと同じ基本給なのに、僕のほうが金額が高いんですよ。

ココア

ヤスオくんは、残業が多かったからね。社会保険料は残業代も含めて金額が決まるのよ。

ヤスオ

そうなんですね。わかりました。

今まで、月額変更届傷病手当金などの多くの記事で、標準報酬月額というワードを使わせていただきました。

社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料・介護保険料)は標準報酬月額をもとに決まります。

いったいどんなものなのでしょうか。

今回は改めて、標準報酬月額のご紹介をさせていただきます。

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【わかりやすく】残業代は含まれる?標準報酬月額とは!

標準報酬月額とは、簡単に申し上げますと、

社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料・介護保険料)のもとになる金額です。

標準報酬月額が高いと保険料も高くなり、低ければ保険料も安くなります。

社会保険料って、給料によって、一人ひとり違うんじゃないの?

社会保険料は、報酬の額を等級に分けて標準報酬月額を決めます。

これが、協会けんぽ(東京)の現在の等級表です。

例えば

同じ会社で働いていて、決定の対象になるお給料がそれぞれ、

211,000円のAさんと、223,000円のBさんは同じ等級(220,000円)にクラス分けされます。

ここに、保険料率をかけることで、金額が決まります。

つまり、AさんとBさんは同じ社会保険料です。

ちなみに、協会けんぽの健康保険料率は、都道府県ごとに設定されております。

介護保険料率は、協会けんぽは共通で、健保組合の場合は、組合ごとに異なります。

厚生年金保険料は全国一律です。

それぞれで特徴がありますので、ご注意ください。

等級や料率が変更されない限りは、同じ保険料を控除します。

雇用保険料は?

同じように、お給料から控除するものとして、雇用保険料がありますね。

雇用保険料は、標準報酬月額は使わずに、毎月支払われるお給料に基づいて算出されます。

今月と先月でお給料の金額が違うと、それに応じで雇用保険料は増減します。

残業代、通勤手当も含めて決定します!報酬の範囲とは?

それでは、標準報酬月額の決まり方を確認していきましょう。

まずは、どんなものが報酬になるのかを確認してみます。

なお、年金機構の厚生年金保険料のページを参考にさせていただきます。

(健康保険・介護保険も同様の考え方をします。)

これによると、報酬とは…

(ア)被保険者が自己の労働の対償として受けるものであること。

(イ)事業所から経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計にあてられるもの

日本年金機構 厚生年金保険の保険料より

と、あります。よくわかりませんね…

次に報酬の例というものがあります。ありがたいです。

厚生年金保険で標準報酬月額の対象となる報酬は、

基本給のほか、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金等、事業所から現金又は現物で支給されるものを指します。

なお、年4回以上支給される賞与についても標準報酬月額の対象となる報酬に含まれます。

日本年金機構 厚生年金保険の保険料より

残業代や、通勤手当も対象なのがわかります。

また、賞与も年に4回以上支払われるものは対象になります。

これらの報酬額をもとに、標準報酬月額が決定されます。

ちなみに、これは、いわゆる手取り額ではなく、

税金や社会保険料などが控除される前の、支給総額の金額が使われます。

6ヵ月の定期代をもらっているときは?

通勤手当の支給が、3ヶ月または6ヵ月の定期代の支給の形で行われている会社さんも多いと思います。

そんな時は、定期代を3又は6で割り、1か月分を算出して報酬額とします。



逆に、含まれないものは何だろう。

先程、ご確認いただいたように、結構な範囲のものが含まれますね。

逆に、報酬に含まれないものはどんなものがあるでしょう?

例えば… 

遠方へ出張に行ってきました!新幹線代が30,000円かかりました。これが領収書です。

お疲れ様です。次回のお給料と一緒に30,000円を支払いますね。

こんな感じの、出張旅費の実費精算の額は社会保険の報酬には含まれません。

他には… 

結婚おめでとう!お祝い金を今度のお給料と一緒に振り込んでおくよ。

こういった恩恵的な金銭も、報酬には含まれません。

標準報酬月額は、いつ決まる?

標準報酬月額が決まるタイミングは…

  • 入社した時等の取得時決定
  • 算定基礎届による定時決定
  • 月額変更届による随時改定
  • 育児休業(産前産後休業)終了時の月額変更届
  • 保険者決定

こういったものがあります。

一つずつ簡単にご紹介します。

取得時決定とは。

こちらは、文字通り社会保険に加入した時に

その時点の見込み報酬額をもとに、最初の社会保険料が決まります。

入社したとき以外にも、

例えば

パートから正社員になり社会保険に加入するケースもこちらですね。

定時決定とは。

定時決定は、

毎年4月から6月の報酬額の平均で、9月からの標準報酬月額を決める手続きです。

7月1日から7月10日の間に算定基礎届を提出しましょう。

以前➡こちらの記事で解説させていただいておりますので、ご参考ください。

対象外のケースにならなければ、全加入者の標準報酬月額がここで決まるビッグイベントです。

随時改定とは。

随時改定は、現在の標準報酬月額と大きく差が出た場合に行われます。

定時決定と比較するとイレギュラーなケースです。

昇給や降給により、固定的賃金に変動があり、

続く3か月間の報酬額、賃金支払い基礎日数の要件を満たしている必要があります。

該当したら、速やかに月額変更届を提出しましょう。

以前➡こちらの記事で解説させていただいております。ご参考ください。

育児休業(産前産後休業)終了時の月額変更届とは。

随時改定と似ているのですが、

育児休業や産前産後休業から復職した社員さんのために

随時改定に該当しなくても、標準報酬月額を改定する手続きがあります。

なお、こちらは本人の申し出により、行われるものとなります。

育児休業(または産前産後休業)終了時月額変更届を提出しましょう。

手続きの詳細は➡こちらの記事で解説させていただいております。

保険者決定とは。

保険者決定は、特殊なケースとなります。

例えば、算定基礎届の提出がなかった場合は、

前年の標準報酬月額を、そのまま適用します。といったような決定です。

年金や傷病手当金など給付の金額のもとにもなっています。

保険料が高くなるから、標準報酬月額は低いほうがいい!

と思っている方は、少なくないかと思います。気持ちは、わかります。

また、「算定基礎届の時期は残業をしないようにして、保険料を安くしよう。」

というお話を、たまに聞きます。

確かに、保険料は安くなるのですが、 保険料が少ないということは、年金や傷病手当金の受け取る金額も少なくなってしまうということです。

保険料が高い=デメリットしかない、というわけではないということですね。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

  • 社会保険料(厚生年金保険料・健康保険料・介護保険料)は一人ひとり違うわけではなく、標準報酬月額によってきまる
  • 報酬の範囲は、残業代や通勤手当など、幅広いものが含まれるけれど、実費精算や恩恵的なものは含まれない。
  • 標準報酬月額が変わるタイミングは大きく5種類

この標準報酬月額の制度は、便利はシステムだとは思うのですが、

社会保険料の仕組みを、わかりにくくしている存在でもあると思います。

ご参考いただけますと幸いです。

今回の内容は動画でも解説させていただいています。

併せてごらんください!

このブログでは、他にも社会保険に関するコラムを書かせていただいています。

よろしければ、併せてご参考ください!

➡ 社会保険コラム

最後までお読みいただき、ありがとうございました。